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鼻背Dorsum nasi, Nasernrückenは下方は鼻尖Apex nasi, Nasenspitzeで終わり,ここから鼻翼Alae nasi, Nasenflugelが両側に出ている.2つの開口すなわち外鼻孔Nares, äußere Nasenlöcherをはいると鼻腔の前庭である.外鼻は広い底をもって顔面の中央部に坐っていて,下方は上唇Labium maxillareに境する.上唇の左右両側の間に浅い溝である人中Philtrum, Unternasenrinneがある.上唇は左右の後角において下唇Labium mandibulareと合する.下唇はオトガイ唇溝Sulcus mentolabialisによってオトガイMentum, Kinnから分かれている.口裂Rima oris, Mundöffnungをへて口腔Cavum oris, Mundhohleにはいると,ここにLingua, Zungeがある.口腔は後方は咽頭腔につづくが,その境は口峡(あるいは咽峡ともいう)Faucesである.栄養のよい人ではオトガイの下方の部分が特別な高まりをしていることが稀でなくて,この高まりとオトガイじしんを合わせて2重のアゴDoppelkinnというわけである.また鼻唇溝Sulcus nasolabialisという特別な溝によって上唇がBuccae (Malae), Backenから境され,頬は後下方に向かってのびて下顎部に移行している.頬の上部で頬骨弓のあるあたりがWange(頬上部)とよばれる.

[図152]人体の諸部分 男の会陰部(His, Die anatom. Nomenclature 1895による.)

[図153]人体の諸部分 女の会陰部(His, Die anatom. Nomenclature 1895による.)

 体肢Extremitates, Extremitäten:体幹の大部分の場所では外液画素の骨性の基礎をかなり明瞭にあらわしているが,体肢の大部分では軟部の発達のために骨性の基礎がいっそう被いかくされている.

 上肢Extremitas thoracica, obere Exteremitätは肩からはじまる.Axilla, Schulterは円みのある高まりで,胸の上外側部を観察したときに肩さきの円い高まりとしてすでに述べたものである.骨の諸部が結合しているところをほとんど完全に包んで,強い筋肉の集まりがあるが,肩峰Acromion, Schulterecke(あるいはSchulterhöhe)という個所でだけ肩甲骨の一部が皮膚の直下にある.三角筋と大胸筋の下縁が上腕Brachium, Oberarmの前面に1つのへこみをつくり,このへこみは腋窩の前縁と同じ高さにある.上腕の前面Facies volarisは筋肉によって生じた縦走の高まり,すなわち二頭筋隆起Bicepswulstを示し,その内外両側に尺側および橈側上腕二頭筋溝Sulcus m. bicipitis brachii ulnaris, radialisが上腕のそれれぞれの面,すなわち尺側面Facies ulnarisと橈側面Facies radialisを下方に伸びている.二頭筋隆起は下方に向かって低くなってしまって,前腕との移行部にあるへこみ,すなわち肘窩Fossa cubiti, Ellenbogengrubeにつづく.このへこみは上下に長くて,下方に向かってやや尖って終わっている.上腕の後面すなわち背側面Facies dorsalisはかなり一様に円みを呈しており,下方はすでに前腕に属するCubitus, Ellenbogenをもって終わる.上肢は上腕と前腕Antebrachium, Unterarm (Vorderarm)との移行部で幅がひろくなっている.この幅が増すことは一部は骨によるが,それより多く筋肉のためである.それから下方は手に向かってわずかずつ上肢の幅が減る.それゆえ前腕には背側面Facies dorsalisと掌側面Facies volarisと橈側縁Margo radialisと尺側縁Margo ulnarisとが区別される.とにかく前腕が上腕と形のうえで著しくちがう点は前者では幅が,後者では厚さが主になっていることであって,骨性の基礎がすでにこの差異をおこすようにできている,前腕とManus, Handとの境は掌側面では1本の溝により,背側面では前腕の骨に属する2つの高まりによって示されている.この2つの高まりのうちで小指の側にあるものがいっそう限局性でありしたがっていっそうめだっている.



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最終更新日11/02/21

 

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