歴史的な偉大な解剖学書
そのうしろには中頭蓋窩の鞍部のなかに視神経溝Sulcus fasciculi opticiがあり,その側方に視神経と眼動脈の通る視神経管Canalis fasciculi opticiがある.そのまたうしろには下垂体窩Fossa hypophyseosと鞍背Dorsum sellaeがある.小翼突起,中鞍突起,鞍背突起Proc. alae parvae, sellae medius, dorsi sellaeにもふれておかねばならない.これらの突起が全部または一部,たがいに骨質の橋わたしでつながっていることがある.鞍背には斜台Clivusが続いている.斜台は蝶形骨と後頭骨とでつくられ,両骨は若い人では軟骨でみたされた蝶[骨]後頭裂Fissura spheno-occipitalisでたがいに結合しているが,この軟骨結合がのちに骨化する.そのうしろにあるのが大後頭孔Foramen occipitale magnumで,この孔を通るものは延髄とその被膜および脈管,椎骨動脈,前および後脊髄動脈,副神経,それから静脈である.大後頭孔のうしろで,内後頭稜Crista occipitalisinternaが左右の後頭蓋窩を分けている.内後頭稜の下部はひろがっていて,ここに浅深不定のくぼみがある.
これは小脳の虫部の接するところで,虫窩Fossa vermianaとよばれる.
脳回圧痕Imperessiones gyrorumと脳隆起Juga cerebraliaは大脳半球の大脳回と大脳溝とに対応するもので. あることが,最近前頭骨について新しい方法で再確認された(Joset, M., Acta anat.,11. Bd.,1950).
上肢の骨格は上肢帯の骨Ossa cinguli extremitatum thoracicarum, Knochen des Schultergürtelsと自由上肢の骨Ossa extremitatis thoracicae liberae, Knochen der freien oberen Extremitätとの2部分からなっている.
上肢帯は各側2つずつの骨,肩甲骨と鎖骨とでできている.また自由上肢の骨格は上腕骨と,前腕の2つの骨と,手の骨格とからなる.手の骨格は手根骨・中手骨・指骨の3主要部分からなり,合計して27個の骨と数個の種子骨をもっている.
上肢帯Schultergürtelは胸郭の全周の大部分をとり囲んでいるが,前と後の正中部では胸郭の少部分がそれに囲まれないで残っている.左右の上肢帯はそれぞれ1つずつの,うしろの広い部分と前の弓状の部分とからできている.後部は肩甲骨であって,第2から第7までの肋骨の高さで胸郭の後部に接し,しかも筋肉が胸郭と肩甲骨の間にはいりこんでおり,さらに筋肉が肩甲骨の外面をも被っている.前部すなわち鎖骨はもっと表層にあって,胸骨ならびに肩甲骨と関節で結合している.上肢帯のかたちを最も簡潔に表現するならば,各側1つの半弓からなり,そのうしろ半分は広くて前半分は細い.この半弓はその凹側で胸郭に接し,その前端で胸郭に関節で結合しているのである.そして前後の両半分の結合するところに上肢がひつかかっている.
肩甲骨は扁平な三角形の骨で椎骨縁・腋窩縁・上縁Margo vertebralis, axillaris, cranialisの3縁と,下角・上角・関節角Angulus caudalis, cranialis, articularisの3角をもっている.
前面は肋骨面Facies costalisとよばれ,浅くへこんでいる.この面を横ぎつて関節角に向う何本かの隆起線が走っており,これを筋線Lineae muscularesという.
後面は背側面Faciesdorsalisとよばれ,肩甲棘Spina scapulae, Schzaltergrdäte ad.-kammによって上方の小さい棘上窩Fossa supraspinamと,下方のいっそう大きい棘下窩Fossa infraspinamに分れる.
肩甲棘は第3胸椎とむかいあい,三角形の領域をなしてはじまって,外側にすすむにつれて高さを増し,最後に平らにおしひろげられた強大な突起になって終っている.この突起が肩峰Acromion, Schulterhöheで,肩関節を後上方から被っている.
最終更新日13/02/03