Band1.262   

B.関節学各論Spezielle Gelenklehre

I. 脊柱の連結Juncturae columnae vertebralis

1.各脊椎間の靱帯

1. 椎間円板Disci intervertebrales, Zwischenwirbelscheiben(成人でふつう23個ある) (図381,383,385,386,392395).

 第2頚椎から仙骨に至るまで,それぞれ2つずつの椎体を結合するもので,次の諸部分からなっている:

1. 椎体の上下面に接する2つの軟骨層

2. 線維軟骨と結合組織とでできている外方の輪状の層すなわち線維輪Anulus fbrosus, Faserring.

3. 中央の軟かい核. これは髄核Nucleus pulposus, Gallertkernとよばれ,線維軟骨と脊索の膨大した遺残とからなる(図381,383).

 ただしこれら各部はたがいにはっきり区分けされているのではなくて,全く自然に移行し合っている.

 仙骨も初めには他の脊椎間と同じような椎間円板をもっているのであるが,各仙椎の骨結合が時を追つて仙骨の下部から上部へと進行するにつれて,椎間円板が完全に退化してしまうのである.

 仙骨と尾骨の間にも, また個々の仙椎が骨結合していない場合にはそれらの間にも椎間円板があるが,そこには髄核が存在しない.

 仙骨と第1尾椎のあいだの結合は仙尾結合Symphysis sacrococcygicaとよばれる.

 頚椎の椎体には外側に椎体間関節Zwischenzvirbelkörpergelenke(Luschka)という小さい関節がある.

 形と大きさ:椎間円板の形は椎体の形と全く一致し,頚部と腰部ではソラマメ型で,胸部ではハート型である.頚部と腰部では椎間円板は前の方がうしろの方よりずっと厚い.この厚さのちがいは腰椎と仙骨のあいだの椎間円板でとくに大きい.椎間円板の厚さは胸部脊柱の中ほどで最もうすく,腰部で最も厚い.すべての椎間円板の厚さを合わせると可動脊柱の全長の1/4をこえる.

 結合様式とはたらき:椎間円板による2つの椎体の結合は一種の軟骨結合である.椎間円板は各椎体をしっかり結合しながらも, かなりの運動性をゆるし,クッションとしても働いているのである.

2. [椎]弓間靱帯Ligamenta interarcualia(成人では23ある).

 この靱帯は第2頚椎以下,1つの椎弓から次の椎弓へと伸びている.ほとんど完全に弾性組織からなるので,黄色い色調を呈している.この靱帯は関節包とともに,脊柱管を椎間孔だけを残して完全に閉鎖している.その中央部がいちばん厚くて,外側縁は頚部脊柱では関節突起にまで達している.胸部および腰部脊柱では関節突起の関節包のなかにまで続いている(図401,403).

 結合様式とはたらき:弓間靱帯による2つの椎弓の結合は弾性靱帯結合である.脊柱の屈曲や回旋にさいして,この靱帯が引き伸ばされ,その後ふたたびちぢむ. そのさいこの靱帯はしわが寄つたりすることがないのであるが,このような性質はもし膠原線維性結合組織でできていたら無理であろう.

3. 棘[突]間靱帯Ligamenta interspinalia (図383,385,386).

 相隣る2つずつの棘突起のあいだの空間は,この突旭の根から尖端まで,膠原線維とわずかの弾性線維からなる靱帯で占められている.この靱帯は腰部で最もよく発達している.

[図381] 椎間円板(×1)横断.

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最終更新日13/02/03

 

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