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6.筋分節の神経分節に対する関係Verhältnis der Muskelsegmente zu den neuralen Segmenten

 節分節の神経分節に対する関係は,少くとも胴の範囲では,各々の筋板Myotomにそれに相当する1つの椎間神経が属しており,また同時に相当する脊髄の一部分が属していることにおいて,事がらが簡単である.この関係ははっきりと定つているので,1個の筋の由来を決定するに当って最も本質的な拠りどころの1つとなっている.しかし胴でも,若い段階にみられた簡単な関係が後の発育によってはなはだ複雑化してくる.それは神経がたがいに叢を成すため,いっそう複雑さが加わるのであって,この叢のなかでは個々の筋神経の走向を脊髄からそれが出る所までたどることは極めて困難となっている.

 筋肉の脊髄節との関係Seginentbezug der Muskulaturを確かめることは,学問的に価値があるのみでなく,医学,とくに神経病学および外科学にとって意義が大きい.それゆえ筋学各論では,個々の筋についてその脊髄節との関係を述べることにする.

 Eisler, P., Die Muskeln des Stammes. Jena 1912では,ここで記載された諸筋の神経支配についての非常に詳しい報告が含まれている.--Wichmann, R, Die Rückenmarksnerven und ihre Segmentbezüge, Berlin 1900.

[図480] 骨および筋の分節 Ac椎骨体;d椎弓;v肋骨弓;K臓弓.1筋分節の背方部三2~5筋分節の腹方部,その種々異なる部分をあらわす;3椎骨前部,4肋骨下部,2肋骨間部,5四肢の部分;6内臓の筋.B最も簡単にえがいた体壁の筋分節.d背方の筋肉;V腹方の筋肉.

[図481] 胴の筋肉の走る方向  1背方の縦走束;2腹方の縦走束;3, 4斜走束;5横走束.

7.筋肉の層形成およびその走向 Schichtung und Richtuny der Muskulatur

 胴部の横断面をしらべて見よう.そうすれば次のものが区別される.

 a) 背方にある強大な筋肉の部分(図480, A.,1)は大肋椎溝Sulcus costovertebralis majorを占めている;この筋肉は脊髄神経の後核によって支配される.

 b) 前, 腹方の部分(2)は,平面的にはいっそう大きく広がり,厚さの点では劣つているが,背方部の筋肉の外側の境界部から腹方に広がって,胸郭では主として肋間に位置を占めている.この腹方部の筋肉の一部は胴のいろいろの部分で椎骨体の側面に前方から付いている(3).胸郭部ではこの腹方部の筋肉に属する別の一部が肋骨の内側面に付いている(4).胴の筋肉のそとには四肢の筋肉が続いており(5).これも腹方の筋肉に属する.しかしながら(3)の筋肉も一部は体肢に達しうる.

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最終更新日13/02/03

 

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