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 さらに下大静脈が右心房に直接に開かないで右縦胸静脈に開いていることがあって,そのときは右縦胸静脈がいちじるしく太くなっている.このような場合には体全部の血液,つまり上半身のみでなく下半身のものも腹部内臓の血液を除いてみな上大静脈により右心房に達するわけである.

[図694] 門脈とその根の模型図(Quainによる) (1/3)

 肝臓は上方にもち上げて,その内臓面がよく見えるようにしている.

この場合に肝静脈は下大静脈にはいらないで1本の幹となって下大静脈が正常のばあい右心房へ開口するところに直接に達している.まれに左の腎静脈が大動脈の後をへて下大静脈にはいっている.はなはだ注目すべき1例として肝静脈のうちの1本が下大静脈にも右心房にも終らずに,右心室にいたり,その開口部に弁がみられた.

門脈Vena portae

 門脈は腹腔の大きな静脈で,多数の内臓静脈が合流してこれをなし,短い経過ののち肝門にはいり(図695, 20),肝臓のなかで枝分れをして,その全部にひろがる毛細管系を作り,すぐ上に述べた肝静脈となって肝臓から出る.

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最終更新日13/02/03

 

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