Rauber Kopsch Band2. 096   

肝臓の位置を固定するもの(図99, 100, 135, 138, 164)

 付着部は結合組織によって横隔膜の下面に固くついている.そのほかに肝臓を横隔膜および前腹壁に固着させるものとして,腹膜のつくるひだ,すなわち肝鎌状間膜,右外側および左三角間膜Mesohepaticum ventrale laterale dextrum, laterale sinistrumと下大静脈V. cava caudalisとがある.胃および十二指腸と肝臓との間は小網Omentum minusによって結合されている.なおまた肝臓の凸面は横隔膜のつくるへこみにはまりこんだ大きな関節頭のようになっているので,気圧がその位置の固定に一と役を演じている.間接には肺の弾性引力elastischer Zugが肝臓およびその他の近在の腹部内臓を支えることにあずかっている.Pfuhl. (Z. Anat. Entw.,89. Bd.,1929)は呼気の状態における肺の弾性引力を2.1kgと計算している.

[図139]肝臓の内臓面 (2/3)

肝臓の血管とリンパ管(図113, 136, 138, 139)

 肝臓に血液をみちびく2つの血管があって,それは固有肝動脈A. hepatica propriaと門脈V. portaeである.固有肝動脈は径およそ5~6mmであり,この器官の大きさに比べるとひじょうに細い.この動脈はいくつかの枝を出した後に肝門に入り,ここで左枝Ramus sinisterと右枝Ramus dexterに分れて,それぞれ左葉と右葉に分布する.右枝から胆嚢動脈A. vesicae felleaeが分れてでて胆嚢にゆく.肝臓じしんに分布する肝動脈の枝はこの器官の内部で小葉間動脈枝Rami arteriosi interlobularesという多数の小枝に分れる.これが肝臓内部の結合組織,この結合組織に包まれている脈管の枝,肝臓の実質じしんおよび漿膜に動脈血をあたえる.肝臓に血管をみちびく第2の血管である門脈ははなはだ太いもので(その径は16mm),肝臓に入る血液の大部分はこれを通る.静脈が血液を運びこむことは肝臓が他のすべての器官と大いに異なる点である.

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最終更新日13/02/03

 

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