Rauber Kopsch Band2. 228   

女性外陰部の脈管と神経

外陰部の諸構造は一部は外陰部動脈から,一部は内陰部動脈によって養われている.静脈はだいたい動脈と一致している.筋膜下陰核背静脈は亀頭と陰核体の血液を受け入れている.前庭球からの静脈は子宮膀胱静脈叢に達するが,また一部は閉鎖静脈に入り,一部は外陰部にあるそのほかの静脈とつながっている.

 リンパ管は浅層のものと深層のものとがあって,はなはだ豊富である.

 神経は交感神経と陰部神経,および陰部大腿神経の3個所からきている.

 尿道の神経および脈管は腟と膀胱のものと結合しており,これらのものと共通の神経幹や脈管の幹から枝をうけている.

4. 女の骨盤出口の筋(会陰の筋, 261頁参照)

B.男性生殖器Organa genitalia masculina, männliche Geschlechtsorgane

 男性生殖器の源をなす生殖腺は精巣Hodenである.精巣上体Nebenhodenは精巣でできた精子を集めるところであり,精管Samenleiterがこれをさらに運んでゆく.精管は腹腔のぞとでは脈管,神経,および膜性の被いといっしょに精索Samenstrangをなしており,腹腔にはいるところでこれらのものと分れる.そして小骨盤のなかでは精管の端の近くが精嚢腺とつながっている.精管は前立腺Vorsteherdrüseという複雑な構造の器官のなかで尿生殖管Urogenitalkanalに開口する.尿生殖管は尿道球腺および特別な支持作用をもつ器官および膜性の被いとともに男の外部生殖器をなしている.それに対して上にあげたものは男の内部生殖器である.

a)男性の内部生殖器

1. 精巣と精巣上体Testis et Epididymis, Hoden und Nebenhoden

 精巣は陰嚢のなかにはいっている2つの腺である.その分泌物はきわめて特殊化した細胞,すなわち精子Spermien, Samenfädenからなりたっている.精巣は側方からやや圧平された形で,これに外側面Facles lateralisと内側面Facles medialisの2面,自由縁Margo liberと付着縁である間縁膜Margo mesorchicus,および上端Extremitas capitalisと下端Extremitas caudalisを区別する.

 精巣は縦径が4.0~5.5cm,矢状径2.0~3.5cm,横径1.8~2.4cmである.重量は25grと30grのあいだである.しかし1側のものが他側のものより重いことは珍しくない.(日本人の成人の精巣は平均して縦径が右3.52cm左3. 38 cm,矢状径が右2.46cm,左2.40 cm,横径が右1.68cm,左1.65cmである(森岡雄太郎,岡山医誌48年下,昭和11年).また重量の平均は右が8.39 gr,左8.45grである(稗田五郎,森優,医研究3巻,昭和4年).)

 精巣上体Epididymis, Nebenhodenは長ぼそくて,精巣の間膜縁に沿ってくここにいている.精巣上体の上端部は精巣上体頭Caput epididymidisといい,幅が広くて,鈍端をもち,精巣の上端よりも上方にまで伸びている.下端は精巣上体尾Cauda epididymidisといい,急に曲がって精管に移行し,精管はそこから上方にすすむ.中央部は精巣上体体Corpus epididymidisとよばれ,尾よりも細くて,その横断面はほぼ三角形をしている.

 精巣上体の外側面は凸面をなし,これと外側稜には何もくここにいていない.そして前面も頭と尾の所を除けば自由面をなしている.精巣と精巣上体を被っている漿膜は腹膜の一部であって,この2つの器官の上端部と下端部のあいだで外側面において,深い裂け目のような形をしたくぼみをなして入りこんでいる.これを精巣嚢Bursa testicularisという(図299).このくぼみの入口を境して横走する漿膜のひだが2つある.このひだを精巣上体頭ヒダPlica capitis epididymidis, 精巣上体尾ヒダPlica caudae epididymidisという.これらがどの高さにあるかについてはいくぶん個体差がある.

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最終更新日13/02/03

 

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