Rauber Kopsch Band2. 264   

2. 骨盤筋膜Fascia pelvis(図337340)

 骨盤筋膜は小骨盤の前壁と側壁と後壁から起こっており,壁側部(外側部)すなわち骨盤筋膜Fascia pelvis(狭義の)と臓側部(内側部)すなわち骨盤内筋膜Fascia intrapelvinaに分けられる.その起始は前方では恥骨から,側方では内閉鎖筋膜から,後方では仙骨から起り,仙骨の前仙骨孔の周囲で腱性の弓をなしている(図337).尾骨の初部で各側の起始が正中線上に集まっている.梨状筋の骨盤内にある部分はこれから薄い被いをうけている.臀動静脈の通るところには卵円形の1孔ができている.この孔には骨盤筋膜の外側部の鋭い縁が内側に向かって凹の弓を画いてのぞんでいる.この弓は仙腸関節の上端から坐骨棘に張るのである.この筋膜の外側部には白い腱性の条があって,これを骨盤筋膜腱弓Arcus tendineus fasciae pelvis(図338, 339,11)という.これは下方に軽く突出した弓を画いて恥骨結合の下部から坐骨棘まで伸びている.

[図338]骨盤筋膜 前部(1/2)骨盤の壁を示す. 膀胱は後方に折り返してある(Henleによる).

 この腱弓は骨盤筋膜と,下内側にゆく内骨盤隔膜筋膜Fascia diaphragmatis pelvis internaとの境となっている.後者は肛門挙筋の内面を被うのである.この腱弓の上方には外側骨盤裂孔Hiatus pelvinus lateralis(図339,12)と大きな閉鎖筋裂孔Hiatus obturatorius(図339, g)とがある.前者は細い血管を通しているだけであり,後者は内閉鎖筋膜に属している.骨盤筋膜は骨盤筋膜腱弓から肛門挙筋の上を内側にすすみ,その部分にある内臓に達しており内骨盤筋膜としてそれらを被っている.すなわち前立腺被膜Capsula prostatae(図339,15)となって前立腺を包み,また膀胱,直腸,腟にもいたり,これらの器官をここにむ線維性の外膜に続いている.内骨盤隔膜筋膜の一部が強くなっていて(左と右の)恥骨前立腺靱帯Ligg. puboprostatica(女では恥骨膀胱靱帯Ligg. pubovesicalia)をなしており,これは恥骨結合の下端から起こって,前立腺の前面か,あるいは膀胱に達している(図339,14)

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最終更新日13/02/03

 

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