Rauber Kopsch Band2. 457   

視神経Fasciculus opticus, Augenstiel

 これは太さ4mmの円柱状をなし,その下面には眼動脈を伴い視神経管を通って眼窩に入り,視神経管の孔に入るときには柔膜とクモ膜の鞘に包まれるほかに,さらになお硬膜の鞘が加わり,眼球の後面においてその後極より4mm内側で付着している(図513).眼球から15~20mm離れたところで網膜中心動脈A. centralis retinaeが視神経内に入り,これは同名の静脈とともに視神経の軸を進んで網膜に達する.

III.動眼神経N. oculomotorius(図512, 513)

 動眼神経は中脳の動眼神経核から起り,10~15本の根をなして動眼神経溝において中脳を去り,ついで上小脳動脈と後大脳動脈とのあいだを外側かつ前方に走って鞍背突起の外側縁に達し,硬膜の動眼神経孔Porus oculomotoriiに入り,海綿静脈洞の上壁のなかを進んで上眼窩裂に達し,眼窩に入る.

 この神経はおよそ13763本(Bors 1925)の多くは太い有髄神経線維よりなり,この神経線維はかなり多数の2次線維束にまとまっている.動眼神経の幹の内部には散在した神経細胞が神経線維のあいだにみられ,この細胞は球形のものと枝分れしたものとがある.動眼神経はすでに頭蓋腔の中で細い枝を柔膜の動脈にあたえる.そして海綿静脈洞の上壁を通るときに内頚動脈の周りの内頚動脈神経叢Plexus caroticus internusから細い枝を受ける.さらに上眼窩裂のなかでは近くにある眼神経から知覚性の細い枝を受ける.動眼神経は上眼窩裂のなかではその内側の隅にあり,滑車神経をその外側に伴ない,外側直筋の両起始頭のあいだを通る.眼窩に入ると間もなくこれは上下各1本の2枝に分れる.

 上枝Ramus superiorは上直筋と上眼瞼挙筋とに分布する.下枝Ramus inferiorは内側直筋,下直筋および下斜筋にゆく3枝に分れる.下枝からはまた1本の短くて細い神経がでて毛様体神経節にゆく.これが毛様体神経節短根Radix brevis ganglii ciliarisである.

毛様体神経節Ganglion ciliare(図513)

 (副交感神経性の)毛様体神経節は長さ約2mmの四辺形の扁平なものであって,これは眼窩の後部で視神経の外側面にあり,視神経と外側直筋とのあいだにある.

 この神経節の後下縁に次にのぺる諸根が入る.短根(運動性)Radix brevis(motoria)は動眼神経からでる.これはその他の根よりもいっそう太く,ときには2本に分れている.長根(知覚性)Radix longa(sensitiva)は三叉神経の鼻毛様体神経からでて,しばしば2本以上の細い束よりなっている.交感根Radices sympathicaeはいくつかの細い束よりなり,これらは交感神経の内頚動脈神経叢からでて,その一部は他の根に合し,一部はこの神経節のところを通り過ぎて毛様体神経とつづいている.

 毛様体神経節は多くの樹状突起と1本の神経突起とをもつ多極神経細胞よりなる(Retzius).この神経節の前縁から,特に前方に向かった角の所からは3~6本の短毛様体神経Nervi ciliares brevesが発して,これは分れておよそ20本にまで数を増し,視神経のそばを通って眼球に達する.通常この神経は上,下の2群に分けられる.下の群には三叉神経の第1枝(眼神経)からでて同じような走り方をしている2本の長毛様体神経Nervi ciliares longiが加わる.

 毛様体神経はみな視神経の周囲で眼球外膜を斜めに貫いて入り,この膜と眼球中膜とのあいだを経線方向に前方に進み,またその途中で小枝を脈絡膜Chorioidesにあたえる.毛様体の後部で繰り返し枝分れして毛様体筋の内部に神経細胞をもつ1つの叢をなす.この叢から眼球の毛様体筋Musculus ciliaris,虹彩Irisおよび角膜Corneaへの神経が出ている.

 

S.457   

最終更新日13/02/03

 

ページのトップへ戻る