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Anat Rec (New Anat) 269:99-106 2002に従いMRIとオリエンテーションを合わせる措置をとった。

 菱脳峡から中脳への以降にしたがい、主に中脳蓋および被蓋に変化が起こる。二つの部位を比較すると、①第四脳室の上方が中脳水道になる、②上随帆が2つの円形の高まりである下丘に終わる、③上小脳脚線維が腹内側に移動し交叉を始める、④中脳被蓋が小さくなる、という変化がある。胸腹側部は小さくなり、やや前方でその変わりに大きな大脳脚が現れる。被蓋の外側表面を占めていた外側毛帯の線維は背側に移動して下丘に入る。

下丘を通る断面の模式図 (Jに対する面)

1:下丘交連、2:滑車神経交叉、3:滑車神経、4:視蓋橋路、5:内側縦束、6:中心被蓋路、7:上小脳脚、結合腕、8:上小脳脚、9:脚間核、10:下丘、11:下丘腕、12:三叉神経中脳路、13:外側毛帯、14:滑車神経核、15:背側三叉神経視床路、16:前外側束、17:淡蒼球網様体路、18:内側毛帯、19:上小脳脚下行枝、20:皮質被蓋線維、21:頭頂側頭橋核路、22:錐体路、錐体束、23:前頭橋核線維


01. Commissura colliculi inferioris(下丘交連)Commissure of inferior colliculus

 →下丘交連は左右の下丘をつなぐ部分。外側毛帯の線維もここを通り反対側へいたる。

02. Decussatio fibratum nervorum trochlearium(滑車神経交叉)Decussation of trochlear nerve fibres

 →白質中での滑車神経線維の交叉。

03. Nervus trochlearis [IV](滑車神経[Ⅳ])Trochlear nerve [IV]

 →これは脳神経中最少のもので、滑車神経核からでて上斜筋を支配する鈍体性運動性神経である。この神経は脳の背側から脳を去る唯一の脳神経で、下丘のすぐ後方で、上小脳脚と上随帆小帯との間から出て、大脳脚をめぐり、(側頭骨)錐体尖の近くで硬膜を貫いて海綿静脈洞の上壁に達し、動眼神経の外側から上側に向かって前進し、上眼窩裂を通って眼窩内に入り、上直筋、上眼瞼挙筋起始部の上を前内側にすすんで、上斜筋に分布する。

04. Tractus tectopontinus(視蓋橋核路、視蓋橋路)Tectopontine tract

 →橋小脳投射は、虫部のなかでは、山腹、虫部葉および虫部隆起で強力であるが、これらの虫部領域はいわゆる「小脳視覚野(視覚性入力をうける)」に相当する。これらの虫部領域には、橋小脳投射を通じて、上丘、一次視覚野(有線野)、および視覚連合野からの入力が入る。この場合、上丘から橋核への入力は視蓋橋核路を通る。

05. Fasciculus longitudinalis medialis(内側縦束)Medial longitudinal fasciculus

 →前索の後部には脳幹のいろいろなレベルにある種々な神経核からでる複雑な下行線維束がある。この複雑な神経線維束は内側縦束として知られている。この神経束の脊髄部は同じ名称で呼ばれる脳幹にある伝導路の一部にすぎない。内側縦束の上行線維は主として前庭神経内側核および上核から起こり、同側性および対側性に主として外眼筋支配の神経核(外転、滑車、動眼神経核)に投射する。内側核からの上行線維は主に交叉をし、両側の外転神経核と左右の動眼神経核に非対称性に終わるが、滑車神経核へは対側性に投射する。上核の中心部にある大形細胞は非交叉性上行線維を内側縦束に出し、これは滑車神経核および動眼神経核に終わる。同核の周辺部にある周辺部にある小型細胞は交叉性の腹側被蓋束(内側縦束の外側にある)を経て動眼神経核に投射するが、これは主として対側の上直筋を支配する細胞に作用する。生理学的には、前庭神経核から外眼筋支配核から外眼筋支配核への上行性投射のうち、交叉性線維は促進的に働くが、肥厚性線維は抑制的に働く。内側縦束にはこのほかに、左右の外転神経核の間にある神経細胞から起こり、交叉して上行し、動眼神経核の内側直筋支配部に終わる明瞭な線維が含まれる。この経路は一方の外転神経核の活動を対側の動眼神経核内側直筋支配部へ連絡する物で、外側視の場合に、外側直筋が収縮すると同時に対側の内側直筋が共同して収縮するための神経機構を形成している。内側縦束の上行線維の一部は、動眼神経核を回ってCajal間質核に終わる。これは内側縦束内にうまっている小さい神経細胞群である。前庭神経内側核は対側性に間質核へ投射するが、上核は同側性に終わる。前庭神経二次線維は両側性に視床の中継核へ投射し、その数は中等度で、後外側腹側核に終止する。前庭からの入力を受ける視床の細胞は体性感覚情報にも対応するが、これは視床には特定の前庭感覚中継核がないことを示唆している。

06. Tractus tegmentalis centralis(中心被蓋路)Central tegmental tract

 →赤核尾端からオリーブ核頭端にかけて網様体のほぼ中央部を縦走する線維束である。大部分の線維は小細胞性赤核におこり、同側の主オリーブ核におわる、とされている。線維束をその形状や位置で命名する場合には一般にfasciculusを用い、起始と終止で命名する場合にはtractusを用いることが多い。Tractus rubroolivarisはFasciculus tegmentalis centralisの主要な構成要素であるが、おそらく上行性の線維も含まれていると考えられる。小細胞性赤核を破壊してナウタ法でみると、大細胞性網様体にも終止性変性線維が認められる。これを赤核網様体路と呼ぶこともある。

07. Pedunculus cerebellaris superior(上小脳脚、結合腕)Superior cerebellar peduncle

 → 上小脳脚(結合腕Brachium conjunctivum)これは主として小脳を出る線維からなる。その主体をなす線維は小脳視床路と小脳赤核路である。これらは主として歯状核から出て、腹内側方に進んで深部に入り、中脳下半で大部分交叉し、上小脳脚交叉(結合腕交叉)を作り、反対側の中脳被蓋を上行し、一部は赤核に終わるが(小脳赤核路)、一部はsらに視床の前外側腹側核に至る(小脳視床路)。なお上小脳脚の表面を前脊髄小脳路が逆行して小脳に入り、主としてその前葉に分布する。また鈎状束は室頂核から出て大部分交叉し、上小脳脚の背外側をへて鈎状に曲がり、下小脳脚内側部の上部

08. Decussatio pedunculorum cerebellarium superiorum(上小脳脚交叉)Decussation of superior cerebellar peduncles

 →上小脳脚は小脳核から出て初めは表面を走るが、下丘の高さで奥に入り交叉して一部は対側の赤核に終わり、一部は視床に至る。この交叉を上小脳脚交叉という。

09. Nucleus interpeduncularis(脚間核)Interpeduncular nucleus

 →脚間核は脚間窩の背側にある。この核は手綱核からの投射を反屈束を経由し受けている。多くのコリン作働性線維が脚間核に終止する。反屈束の線維のうちで脚間核を通過するものは上中心核、背側被蓋核および中脳中心灰白質に達している。背側被蓋核はまた乳頭体被蓋路を通して乳頭体からも線維を受け、中脳中心灰白質の腹内側にある小さな線維束である背側縦束と密接に関係している。これらの神経路は辺縁系に関連した信号を中脳の諸核に伝えている複雑な神経路の一部を構成しており、内臓や行動機能に関係する。

10. Colliculus inferior(下丘)Inferior colliculus

 →下丘は中脳蓋を形成する二対の隆起(四丘体)のうち下方の一対をいう。下丘は聴覚系の中脳における中継核で、細胞構築および機能的に中心核、外側核および周囲核の三つの核からなる。下丘核は外側毛帯を介して蝸牛神経核および台形体核から線維を受け、下丘腕を通って両側性に視床の内側膝状体へ線維を送る。

11. Brachium colliculi inferioris(下丘腕)Brachium of inferior colliculus

 →下丘腕は内側膝状体と下丘とをむすぶ。

12. Tractus mesencephalicus nervi trigemini(三叉神経中脳路)Mesencephalic tract of trigeminal nerve

 →三叉神経中脳路核の細胞体からの主な突起は鎌状をした三叉神経中脳路を作り、これは三叉神経運動核の高さまで下行し、側副枝を運動核に送るが、大部分は運動根の一部として脳外に出る。

13. Lemniscus lateralis(外側毛帯)Lateral lemniscus

 →外側毛帯は中脳まで上行し、大部分の線維が下丘に終わる。背側および腹側蝸牛神経核からの線維は、背側、中間および腹側聴条として対側に向かい、多くは対側の台形体背側核におわるが一部はそのまま上行する。この上行する線維と同側の台形体背側核から出て上行する線維が一緒になって外側毛帯を形成する。外側毛帯は橋の高さで内側毛帯(系)の背外側の位置を占めて上行し、大部分は下丘に終わるが、一部は途中下丘のすぐ腹側に存在する外側毛帯核におわる。

14. Nucleus nervi trochlearis(滑車神経核)Nucleus of trochlear nerve

 →滑車神経核は下丘の高さで、中心灰白質の腹内側にあり、動眼神経核の直接尾方延長部にあたる。これは動眼神経主核と同様に多極性の大細胞からなり、これから出る根線維は中心灰白質の外側部を背側方でやや下方に走り、下丘の下で完全交叉をおこない(滑車神経交叉)、脳を出る。なお滑車神経核の背側で中心灰白質中には背側被蓋核が認められ、また内側縦束の腹側には腹側被蓋核が区別される。

15. Tractus trigeminothalamicus posterior(後三叉神経視床路、背側三叉神経視床路)Posterior trigeminothalamic tract; Dorsal trigeminothalamic tract

 →三叉神経主知覚核からの二次線維には交叉性のもとの非交叉性のものとがある。核の背内側の細胞からは細い非交叉性線維束が出て、中脳の中心灰白質の近くを上行し、同側視床の後内側腹側核に終わる。これらの線維束を背側三叉神経視床路といい、下顎神経のみに関係した特有な経路と思われる。

16. Fasciculus anterolateralis(前外側束、前外束)Anterolateral fascicle

 →前外側束は前外側索系の表層部にあたる。前外側は脳幹では網様体よりも外方に位置する。

17. Tractus pallidoreticularis; Fibrae pallidotegmentalis(淡蒼球網様体路、淡蒼球被蓋線維)Pallidoreticular tract; Pallidotegmental fibres

 →淡蒼球被蓋線維はForelのH野から下行し、脚橋(被蓋)核(PPN)の緻密部に終わる。この核の一部の細胞は上小脳脚の線維間に散在する。サルでの研究により、淡蒼球内節の細胞は軸索が2分岐し、同一の信号を視床核と脚橋被蓋核に送ることがわかった。脚橋被蓋核の投射線維は淡蒼球内節、視床下核、黒質および視床核群に終止する。この核の大型細胞は強いコリン作働性である。ラットでは、脚橋被蓋核のコリン含有細胞は主に視床の外側腹側核へ投射すると考えられている。脚橋被蓋核およびその近傍の非コリン作動性細胞は線条体とその関連核へ投射すると記載されている。サルでは脚橋被蓋核は主に同側の黒質に投射する。この領域は、電気的に刺激すると歩行運動が生じるので、特に興味がもたれる。

18. Lemniscus medialis(内側毛帯)Medial lemniscus

 →内側毛帯(旧名は内側絨帯)の線維束は、延髄の薄束と楔状束核に存在する神経細胞の神経突起からなり、延髄から薄束と楔状束を経て触覚や深部感覚などを伝える上行性伝導路の第1ニューロンである。すなわちこれらを構成する線維は、脊髄神経節の中の偽単極性知覚細胞の視床突起である。薄束核ないし楔状束核でシナプスを行った第2ニューロンは、内側毛帯(延髄視床路bulbothalamic tract)となる。視床を出た第3ニューロンの線維は、上行して大脳皮質におもむく。

19. Pedunculus cerebellaris superior, ramus descendens(上小脳脚下行枝)Descending branch of superior cerebellar peduncle

 

20. Fibrae corticotegmentales(皮質被蓋線維)Corticotegmental fibres

 →脳の高位レベルから起こる神経線維の中にも脳幹網様体外側部のニューロンに終止するものがある。これらのなかで重要なものは反対側の台の皮質運動領から起こる皮質被蓋線維と、反対側の赤核から起こる神経線維である。

21. Fibrae parietotemporopontinae(頭頂側頭橋線維)Parietotemporopontine fibres

 →頭頂、後頭および側頭橋線維で、頭頂葉、後頭葉および側頭葉をなどから出て内方を通って下行し、大脳脚をへて同側の橋核終わる。

22. Tractus pyramidalis(錐体路、錐体束)Pyramidal tract

 →複雑でしかもバランスのよい動作の背景には、多くの領域(大脳皮質、基底核群、視床下核、黒質、赤核、脳幹網様体、前庭神経核群、小脳、視床など)の関与がある。したがって、動作を実現させたり調節したりするための神経経路は非常に複雑なものになる。錐体路本来の定義に従えば、起始領域、終枝部位に関係なく延髄の錐体(pyramis)を通るすべての神経線維群をいう。鳥類以下には見られず、哺乳類とくにヒトでよく発達しており意識的運動を司る。これらの大部分の線維は大脳皮質からおこり脊髄におわる皮質脊髄線維(または路)からなるが、若干の線維は錐体の経過中またはそれよりも前方のレベルでの神経路から離れて脳幹にある反対側の運動性の脳神経核および付近の毛様体(皮質網様体線維)におわる。これらの皮質核線維とよばれるものは厳密には錐体路に含まれないが、しばしば両者(皮質脊髄線維と皮質核線維)を一緒にして錐体路とよばれる。両者が独立したニューロン群か否かの問題は未解決のままである。錐体路の起始細胞は、昔からの考えによれば起始細胞は、運動領皮質(4野)の第5層の巨大錐体細胞(Betz)で、その経路は、終脳の内包、中脳の大脳脚、橋の橋縦束、さらに延髄の錐体を下行し、脊髄前角にいたる有髄線維の薩摩里の長下行路である。その経路中、橋核、脳幹の網様体や運動核、またおそらく大脳基底核などに一部側枝を与え、延髄下端で大部分(91~97%)の線維が交叉し(これを錐体交叉という)これらは対側の脊髄側索(錐体側索路、外側皮質脊髄路)を下るが、小部分はそのまま同側の前索(錐体前索路、前皮質脊髄路)を下行する。しかし、この確立された錐体路というロマンチィクな概念もいまや崩れつつある。すなわちその大脳皮質の起始領野をみれば、運動領(4野)のみでなく知覚領や連合領を含む他の領野まで包括される。起始ニューロンもBetzの巨大細胞のみならず、第5層に、みられる中型・小型の錐体細胞も証明されている。さらに脊髄の終枝部位についても前角の運動ニューロンに直接おわるものは動物による実験的研究で判明した限りではむしろ少なく、大部分は中間帯や後核基部におわり、介在ニューロンを介して運動ニューロンに影響を与えると思われる(間接皮質運動路)。錐体路の起始・終枝の問題だけでなく、錐体を構成する軸索には、古典的な錐体路以外の錐体路頚の線維も少量ながら含まれており、単純な観念として、延髄の錐体を通る線維群(錐体路)とそれ以外の運動系(錐体外路)とに分けることは、形態的にも機能的にも無理があるので錐体路、錐体外路という術語は便宜的使用以外には今後用いられなくなる傾向にある。

23. Fibrae frontopontinae(前頭橋線維、前頭橋核線維)Frontopontine fibres

 →前頭橋核線維は大脳脚の内側1/6のところにある。前頭葉と橋をむすぶ線維。

 

最終更新日: 19/02/05

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