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30歳♂のT1強調MRI画像

外眼角耳孔面に水平な面(前頭葉、側頭葉、視床下部、中脳と小脳が見える)Qに対する面

01:上前頭回、02:梁下野、03:終板、04:視床下部、05:脳弓、06:下前頭回、07:外側溝、08:側頭葉、09:上側頭回、10:半月回、11:扁桃体、12:海馬白板、13:海馬、14:海馬傍回鈎、15:中側頭回、16:海馬溝、17:海馬傍回、18:下側頭回、19:滑車神経、20:中脳水道と第4脳室への移行部、21:外側後頭側頭回、22:小脳前葉虫部、23:前頭極、24:帯状回、25:中前頭回、26:島輪状溝、27:前障、28:島、島葉、29:線条体底、30:第三脳室、31:大脳脚底、32:側脳室下角、33:黒質、34:中脳被蓋、35:青斑、36:側副溝、37:視索、38:小脳前葉半球、39:第一裂、40:小脳後葉半球

01. Gyrus frontalis superior(上前頭回)Superior frontal gyrus

 →上前頭回は上前頭溝の上にある。上前頭回および中前頭回の後部には運動性皮質中枢の続き(運動前野)があるが、これらの回の前部および下前頭回は連合中枢(前頭連合野)と考えられれる。

02. Area subcallosa(梁下野)Subcallosal area

 →梁下野は半球内側面で、終板傍回のすぐ前方にあり、背側方は帯状回につづき、腹側方は前有孔質と境される。

03. Lamina terminalis(終板)Lamina terminalis

 →終板は広義の第三脳室の吻側壁であって、三角形をした薄い膜状の組織であり、前交連から視交叉にかけての正中部にみられる。終板の尾側面は上衣細胞被われており、吻側面は脳軟膜でおおわれ、さらにそのすぐ吻側には前交通動脈が通っている。組織学的にみると終板は外層と内層に分けられ、内層は主として神経膠細胞の突起で出来ている。

04. Hypothalamus(視床下部)Hypothalamus

 →第三脳室の側壁の下部および底にあたる。脳底面からみると、吻側から数えて、視交叉、漏斗、灰白隆起、乳頭体とつづき、漏斗の先端は下垂体に連なる。背側は視床下溝により視床と境されており、吻側は終脳の視索前野に、尾側は中脳被蓋と中脳中心灰白質に、尾外側は視床腹側部に移行する。通常、矢状面に平行な三つの帯状領域、すなわち、視床下部脳室周囲層、視床下部内側野、視床下部外側野に区分される。これらの間を多数の細かい神経線維が主として吻尾方向に走っている。視床下部は前後径が約10mmである。視床下部は内部環境を正常に維持する機序に関与し、また心悸亢進、瞳孔散大、“冷汗”の分泌などの情動反応の表出にも一役を演じている。大脳皮質を除去し、背側視床を除去した後でも、怒り反応はあらわれる(「みかけの怒りSham rage」)。さらに、視床下部は成長、性的成熟など新地あの成熟過程にも関与している。したがって、視床下部を損傷すると、広汎で顕著な内分泌性、代謝性、行動性(情動性)の以上が一緒に起こってくることになる。視床下部は下垂体ホルモンによって内部環境に影響を及ぼすが、さらに脳幹網様体や自律神経系を介しても同様の働きを示す。視床下部への情報は通常の入力神経系によって伝達されるばかりでなく、視床下部のニューロンは内部環境からの物理的および化学的刺激(血液の温度など)にも反応する。植物性機能の中には、その統御中枢が視床下部自体に存在するものもあるが、呼吸や心臓の活動などの機能に関しては、視床下部はもっと回の中枢に対する修飾器として働いている。

05. Fornix(脳弓)Fornix

 →白い線維が帯状になった脳弓は海馬体の主要な遠心性線維系を構成する。この中には投射線維と交連線維の両者が含まれる。これは海馬台皮質(海馬台前部、海馬台、前海馬台)と海馬の大錐体細胞の軸索からなり、海馬白質として側脳室表面に広がり、それらがまとまって海馬采を形成する。両側の海馬采は後方へ進むにつれて太くなり、海馬の後端に至って脳梁膨大の下を脳弓脚となって子を描いて上がると同時に両側の物が互いに近付いてくる。このあたりで多数の線維が反対側の脳弓に入る。すなわち交叉線維が薄く板状に広がって脳弓交連(海馬交連、または脳琴psalterium)を形成するがヒトでは発達が悪い。両側の脚は合して脳弓体となり脳梁の直下を前方に視床の吻側端まで行き、ここで再び線維束が左右に分かれ脳弓の前柱として室間孔から前交連の後ろまで腹方に曲がる。神経線維が薄い帯状になった海馬采は脳弓のほぼ全経過にわたって外側に位置しているが、吻側では脳弓の本体である脳弓前柱の中に混ざってしまう。脳弓線維の最大部分は前交連の尾側を交連後脳弓として下行し、残りは前交連の前を交連前脳弓となって走る。海馬台に起始をもつ交連後脳弓線維は視床下部を通過して乳頭体に至るが途中視床にも枝をだす。乳頭体では主として内側核に終止する。視床下部の吻側部で交連後脳弓から分かれた線維は、外側中隔核と、視床の前核群や外側背側核に終わる。その他、海馬台からの遠心線維は、前頭葉内側皮質、尾側帯状回、海馬傍回などに直接投射する。交連後脳弓線維の一部は乳頭体を越えてさらに尾方へ下り中脳被蓋に入る。交連前脳弓は線維束としては交連後脳弓よりも小さく、疎であって肉眼的に認められるようなものではない。これらの線維は海馬のすべてのセクターの錐体細胞に始まり、中隔核群の尾部の一部に終わる。以上にのべた解剖学的な連絡様式から示唆されるように、海馬台からのインパルスは複雑な経路を経て種々の部位に投射される。すなわち、海馬と海馬台は直接あるいは関節の投射路によって中隔核群、視床下部、視床、大脳皮質の広汎な領域および中脳網様体と結合する。

06. Gyrus frontalis inferior(下前頭回)Inferior frontal gyrus

 →下前頭回は外側溝の前枝と上行枝によって3つの部分に分けられる。すなわち、①眼窩部、②三角部、③弁蓋部である。優位大脳半球(通常は、右利きの人では左側にある)の三角部と弁蓋部は運動性言語中枢motor speech center(ブローカ中枢Broca's area)があり、言語活動に必要な微妙な運動支配を支配すると言われる。前頭葉下面は前頭骨眼窩部の上面にのっておりわずかに凹んでいる。ブローカ中枢は、右利きの人では左半球に、左利きの人では右半球にあるという説がある。

07. Sulcus lateralis(外側溝)Lateral sulcus

 →『シルビウス裂溝』ともよばれる。外側口はぢあの右半球の底面における陥凹である大脳外側窩に始まり、外包にすすんで半球外側面に現れ、その主部は後枝として後上方にすすみ、一方は前頭葉および頭頂葉と他方は側頭葉との境をなす深い溝である。半球外側面に現れたところで2小枝、すなわち前に向かう前枝と、上行する上行枝を出す。外側溝の奥には島がある。オランダの医学者Francis Sylvius (1614-1672)による。ちなみに中脳水道のシルビウスは別人である。

08. Lobus temporalis(側頭葉)Temporal lobe

 →側頭葉は外側溝より下方にある部分で、上外側面から下面におよび、後方は後頭葉および頭頂葉に移行する。上外側面では溝としては前後に走る上および下側頭溝があり、これらによって上、中および下側頭回が区画される。上側頭回の背側面で外側溝にかくれた部分には3本の横側頭溝があり、これらにより区別される二つの横側頭回(Heschl)がある。ここに聴覚野がある。これらの大部分は側頭葉下面皮質とともに連合中枢(側頭連合野)と目される。優位半球(主に左脳)の上側頭回の後部から角回にかけて感覚性言語中枢(Wernicke野)があるとされる。側頭葉下面では溝として前後に走る後頭側頭溝およびその内側をほぼこれと平行に走る側副溝がある。また側副溝の前方の延長部には浅い嗅脳溝がある。これは海馬傍回の前部と側頭葉の残部とを境する。回としては外側後頭側頭回は大脳上外側面における下側頭回が下面へ直接移行したもので、これらの両回の間を境する溝はない。内側後頭側頭回は後頭側頭溝と側副溝の間にあり、舌状回は側副溝後部と鳥距溝の間にあり、むしろ大部分は後頭葉に属する。

09. Gyrus temporalis superior(上側頭回)Superior temporal gyrus

 →上側頭回は外側溝と上側頭溝の間にある。上側頭回の後部付近には感覚性言語中枢sensory speech center(ウェルニッケ中枢Wernicke's area)があり、これは聞いた言葉を理解する中枢であるという。一次聴覚野は聴覚の中枢で、側頭葉の上側頭回の上面(Brodmannの41野)にある。二次聴覚野は一次聴覚野の周囲(42、22野)にある。一次聴覚野で聞く音の意味はこの皮質領域で理解される。ウェルニッケ中枢の障害時には、言語の理解ができない。ちょうどしらない外国語を聞くのに似ている。また、自己の発する言語音を聞きながら発声をすることができないので、理解できるような言語を発することもできなくなる。乳児のようにチンプンカンプンの発語となる(jargon aphasia)。このように感覚性言語野の障害で起こる失語を感覚性失語症sensory aphasiaまたは言語聾word deafnessという。感覚性言語中枢と聴覚領のすぐ下の上側側頭溝には、眼で見た物の動きを総合して認識する神経細胞が存在する。一側の一次聴覚野の障害では、反対側の聴力に障害が起こるが、聴力が完全に失われることはない。一側の聴覚器からの入力は両側の聴覚野に達するためである。二次聴覚野の障害が起こると、聞く音の意味を理解することができない。これを聴覚失認auditory agnosiaという。

10. Gyrus semilunaris(半月回)Semilunar gyrus

 →半月回と迂回回は大脳半球の回転によって広範囲に側頭葉の内側面へ移行している。半月回は扁桃周囲皮質によって占められている。

11. Corpus amygdaloideu(扁桃体)Amygdaloid body

 →扁桃体または扁桃核はアーモンドに似た形をした系統発生学的に古い核で、原始線条体とも呼ばれ、辺縁系における重要な神経核をなしている。扁桃体は側脳室下角の前端部の前にあり、一部その前内側壁と前背側壁を作り、前頭断では大きい不規則な卵円形の細胞集団をなし、レンズ核の腹側にある。この核は多数の亜核からなり、系統発生学的に古い内側核群とやや新しい外側核群に分かたれる。扁桃核は周辺の皮質や嗅球、その他の嗅脳部、中隔野などから線維を受けるが、海馬からの直接の線維はないらしい。扁桃核の遠心路には背側の分界条と腹側の遠心系がある。分界条は扁桃核から起こって尾状核尾の内側縁に沿って上方、ついで前方に向かい、視索前部、視床下部の前核および腹内側核に分布する。腹側遠心系はレンズ核の腹側を内側方、前方に走り、視索前部、中隔野、尾状核頭腹側部、嗅脳後部、前交連などになどに入り、一部の線維は内側前脳束に入って主として視床下部外側核に分布し、また一部は下視床脚を通って視床内側核に入る。扁桃体は視床・視床下部や前頭葉・側頭葉の新皮質との間に複雑な線維連絡をもつ。扁桃体は本能・情動による行動の中枢で、その線維連絡によりいろいろな体性および内臓機能と関連すると考えられている。

12. Alveus hippocampi(海馬白板)Alveus

 →海馬表面の白質の薄層。海馬白板は有髄線維の薄い層であり、側脳室の上衣細胞層に直接面している。白板の線維のなかには海馬からの出力線維(錐体細胞の軸索)も、海馬への入力線維も存在する。

13. Hippocampus(海馬)Hippocampus

 →海馬は(海馬はウマの前半身と長い魚の尾をもったギリシャ神話における動物)またはアンモン角(アンモンはエジプトの巻いた角をもった神)は海馬溝による長い弯曲したたかまりで、側脳室下角の内側壁の大部分を占め、その肥厚した前端部の上面にはいくつかの指のような肥厚があり、これは海馬足または海馬指とよばれ、ほとんど下角の前端に達している。海馬の側脳室表面は海馬白板によっておおわれる。これは内側方は海馬采に続く。海馬采は海馬をおおってその内側部に付く。大脳半球内側面の部分から形成される古い皮質(原皮質)で解剖学的に海馬を厳密に定義することはむずかしい。すでに爬虫類で海馬に相当する皮質がみられ、哺乳類でみられる基本的な要素が発達している。ある種の出力と入力が共通しており、互いに密接に関連(結合)している単純な層形成をもっている部分、すなわち、固有の海馬(アンモン角)と歯状回および、ときに海馬台(海馬支脚、海馬床)、海馬采、脳弓を加えて考えた方が研究目的上都合がよいことが多い。また、しばしばこの意味で、海馬形成(hippocampal formation)という言葉が用いられる。さらに皮質分野27(海馬支脚前野),29e(脳梁膨大後野)、49(海馬支脚傍野),28(内嗅領),からなるretrohippocampal foramtionを含めて海馬領域(Angevin, 1965)とよばれる。海馬は構造上部位差がみられ、CA1~CA4の亜核に分けられる(Lorente de No, 1933, 1934)。また、構造上、分子層、錐体細胞層および多形細胞層の各層に区別される。海馬からの遠心性線維は、主として前部から中核部に、また、主として後部から脳弓線維となって視床下部とくに乳頭体に終わる。求心性線維には、嗅内野(entorhinal area, 28野)や嗅周野からくる穿通線維および中隔核や対角帯核からくる中隔海馬線維がある。嗅脳からの直接投射はない。海馬は以前、嗅覚系に関係すると考えられ、ついで情動に、最近では臨床的知見により記憶、とくに短期記憶に関係があることが示唆している。側頭葉基底部の皮質および海馬を両側性に除去すると最近のできごとに関係する記憶が失われる。患者はまったく正常に会話についていけるが、話題が変わるとたちまち前の話の筋を忘れてしまう。

14. Uncus(海馬傍回鈎)Uncus of parahippocampal gyrus

 →海馬傍回の前端を構成する鈎状の部分。

15. Gyrus temporalis medius(中側頭回)Middle temporal gyrus

 →側頭葉には大脳回が3列に並んでいる。つまり中央の上側頭溝と下側頭溝に挟まれた脳回が中側頭回である。

16. Sulcus hippocampalis(海馬溝)Hippocampal sulcus

 →深い脳溝で、海馬傍回および歯状回の間にある。前方は鈎に接する。

17. Gyrus parahippocampalis(海馬傍回)Parahippocampal gyrus

 →海馬傍回は海馬溝の下方、側副溝との間に大きな回である。海馬傍回の皮質の細胞構築は海馬台前部から順次海馬台、前海馬台を経て海馬体、歯状回にいたる間に次第に6層から3層構造に移り変わる。嗅内領(28野)は6層構造の皮質であるが、より内側ではある層が脱落して再構成が行われる。海馬体皮質には基本的な多形細胞層、錐体細胞層、分子層よりなる3層構造がある。これらの細胞の軸索、樹状突起の配列によりいくつかの層が二次的にできる。錐体細胞の軸索は海馬白板に投射し脳弓の海馬采となる。

18. Gyrus temporalis inferior(下側頭回)Inferior temporal gyrus

 →下側頭回は下側頭溝の下方にある。

19. Nervus trochlearis(滑車神経)Trochlear nerve

 →これは脳神経中最少のもので、滑車神経核からでて上斜筋を支配する鈍体性運動性神経である。この神経は脳の背側から脳を去る唯一の脳神経で、下丘のすぐ後方で、上小脳脚と上随帆小帯との間から出て、大脳脚をめぐり、(側頭骨)錐体尖の近くで硬膜を貫いて海綿静脈洞の上壁に達し、動眼神経の外側から上側に向かって前進し、上眼窩裂を通って眼窩内に入り、上直筋、上眼瞼挙筋起始部の上を前内側にすすんで、上斜筋に分布する。

20. (中脳水道と第4脳室への移行部)Transition of aqueduct into the fourth ventricle

21. Gyrus occipitotemporalis lateralis(外側後頭側頭回)Lateral occipitotemporal gyrus

 →後頭側頭溝の外側にある回。側頭葉下縁で切れ目なく下側頭回へ移行する。

22. Vermis cerebelli (Vermis)(小脳前葉虫部)Vermis of anterior lobe of cerebellum

 →小脳虫部は小脳のなかで系統発生学的に古い無対の部分。

23. Polus frontalis(前頭極)Frontal pole

 →前頭葉の前端。

24. Gyrus cinguli (帯状回)Cingulate gyrus

 →帯状回は、脳梁の前端から始まり、脳梁の上を回って、その後端まで達する。帯状回と脳梁の間には脳梁溝があり、帯状回と上前頭回との間には帯状溝がある。

25. Gyrus frontalis medius(中前頭回)Middle frontal gyrus

 →中前頭回は上前頭溝と下前頭溝の間にあり、中前頭回および下前頭回は人脳では特に発育が良い。

26. Sulcus circularis insulae(島輪状溝)Circular sulcus of insula

 →島の境界となる溝。島限で中断する。

27. Claustrum(前障)Claustrum

 →前障はレンズ核と島との間にある、内側が凹面をなす板状の核で、腹側方に厚くなる。この核とレンズ核との間には外包があり、また島の皮質との間には最外包がある。これらは狭い白質で、大部分は連合線維から、一部は交連および投射線維からなる。前障は種々の視床核、扁桃体などから線維を受け、大脳皮質に広く投射する。前障は以前は線条体とともにいわゆる基底核に数えられたり、あるいは皮質層の付け足しとして島皮質に属するものとされた。しかしながら、発生学的ならびに比較解剖学的研究によって、前障は発生の途中で位置がずれた古皮質の細胞群であることが証明されている。前障はその広い底の所で古皮質の領域へ移行する(すなわち梨状前野や扁桃体の外側核へ)。頭頂葉、側頭葉および後頭葉の皮質からの、無髄線維が局在的配列をなして前障に終わると言われている。前障の機能についてはわかっていない。

28. Insula; Lobus insularis (島、島葉))Insula; Insular lobe

 →外側窩の奥深くにある大脳皮質。発生初期は露出しているが、後には被われて外側から見えない。

29. (線条体底)Floor of striatum

 

30. Ventriculus tertius(第三脳室)Third ventricle

 →左右の間脳の間にある背腹方向にスリット状を示す腔である。前壁は終板と前交連によってつくられる。前上部には室間孔が開口し、左右の側脳室と交通し、後方は中脳水道と連絡する。後壁は松果体に入り込む松果体陥凹がみられ、下壁は視床下部によってつくられ、視交叉陥凹、漏斗陥凹がみられる。外側壁を形成している視床と視床下部の境には視床下溝が走る。なお、脳室の前上方部に第三脳室終脳部とよばれる部分がある。

31. Basis pedunculi cerebralis(大脳脚底)Base of cerebral peduncle (crus cerebri)

 →狭義の大脳脚を指す。大脳脚の前部と同義語である。

32. Cornu temporale; Cornu inferius(側脳室の側頭角、側脳室の下角)Temporal horn; Inferior horn

 →側脳室の下角(側頭角)は側頭葉に向かって前下方に突出した部分で、この上外側壁は主として脳梁膨大から放散する脳梁線維からなり、これを壁板という。下壁には側副溝によるたかまり、すなわち側副隆起があり、その後方は三角形をなし、側副三角と呼ばれ、後角まで延びている。内側壁は複雑で、上壁との境界部に尾状核尾および分界条があり、その下に上衣層によっておおわれた側脳室脈絡叢があり、さらにその下には脳弓脚の続きである海馬采がある。

33. Substantia nigra(黒質)Substantia nigra

 →中脳被蓋腹側部の核で大脳脚の背側に接して存在する。ヒトの黒質の神経細胞は顆粒状のメラニン色素を豊富に含有するため、黒質は全体として肉眼的に黒くみえる。黒質には背側の緻密部と腹側の網様部が区分される。緻密部が神経細胞に富むのに対し、網様部では神経細胞の密度は粗で、細い神経線維に富む。したがて、前者は黒色部、後者は赤色部とよばれることがある。黒質からおこる遠心性神経線維としては、緻密部からおこり線条体に分布する黒質線条体線維、網様部から起こり視床のとくに内側腹側核(VM)に分布する黒質視床線維、および網様部からおこり上丘の中間灰白質に分布する黒質上丘線維などが主なものである。また、黒質に分布する求心性神経線維の起始としては、線条体・淡蒼球・視床下核(Luys体)が主なものである。これらのほか、前頭葉皮質・背側縫線核・扁桃体中心核・外側手綱核なども報告されているが不確実である。黒質は中枢神経系のうちでドーパミンとGABAの含有量が高い部位として知られる。ドーパミンは線条体に神経線維を送る黒質緻密部の神経細胞に主として含まれ、またGABAは線条体よりおこり黒質網様体に至る神経線維の軸索終末に主として含まれる。黒質に見られる線維はまたは11個のアミノ酸が連絡したペプチドとしてのP物質(SP)も含む。黒質は脳において最も高濃度にP物質を有する部位で、この物質は黒質の緻密部および緻密部内の神経終末に凝集している。網様部はまたエンケファリン作働性線維および終末も有する。尾状核および被殻の樹状突起の棘突起に含むニューロンから起こる線条体黒質線維はGABA、P物質、エンケファリンを含む。これらの線維は同様の伝達物質を有する線条体淡蒼球線維を出すニューロンとは異なる細胞集団から起こる。黒質はパーキンソン病(振戦麻痺)の原因となっている代謝障害に緻密に関係しており、Huntington舞踏病および異常な不随意運動や筋緊張の変化を特徴とする他のタイプの運動障害にも関与しているようである。パーキンソン病では黒質から線条体へのドーパミンの輸送および合成が極度に傷害される。Huntington舞踏病では線条体のドーパミンは星状であるがGABAは著明に減少している。

34. Tegmentum mesencephali(中脳被蓋)Tegmentum of mesencephalon

 →中脳被蓋は黒質と中脳水道との間の部分。動眼神経核、滑車神経核の他に網様体、赤核および多くの小さな細胞集団を含む。

35. Locus coeruleus(青斑)Locus ceruleus

 →第四脳室の側壁中で、細長くのび、上窩の上方に続いている部分は浅くくぼみ、青黒く見える細胞群を青斑という。

36. Sulcus collateralis(側副溝)Collateral sulcus

 →側頭葉の側頭極からはじまり、海馬傍回と内側後頭側頭回の間にある溝。後頭葉まで達する。

37. Tractus opticus(視索)Optic tract

 →左右の視索は視床下部と大脳脚の吻側部一部を巡る。これらの線維の多くは外側膝状体の中に終止するが、小部分は下丘腕となって上丘および視蓋前域にまで続く。外側膝状体からは膝状体鳥距路が起こり、これが視覚路の最後の中継路をなす。視索前域は対光反射と関係し、上丘は眼と頭の反射運動よよち視覚刺激を追跡することと関係している。網膜視床下部線維は、両側性に視床下部の視神経交叉上核に終止する。この網膜からの直接の投射は、機能的には神経内分泌調節と関連している。

38. Lobus cranialis (anterior) cerebelli(小脳前葉半球)Hemisphere of anterior lobe of cerebellum

 →小脳第一裂より前方の部分。

39. Fissura prima(第一裂)Primary fissure

 →四角小葉と単小葉間の切れ目。

40. Lobus caudalis (posterior) cerebelli(小脳後葉半球)Hemisphere of posterior lobe of cerebellum

 →第一裂と後外側裂の間になる区域。

 

最終更新日: 19/02/05

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