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T1-4r.jpg (19470 バイト)

30歳♂のT1強調MRI画像

外眼角耳孔面に水平な面(トルコ鞍入り口のレベルで、前頭葉、側頭葉、漏斗、橋および小脳が見える) Rに対する面

01:眼窩回、02:直回、03:嗅索、04:上側頭回、05:漏斗、06:中側頭回、07:動眼神経、08:滑車神経、09:下側頭回、10:青斑、11:第四脳室、12:室頂核、13:小脳虫部、14:嗅溝、15:視交叉、16:扁桃体、17:側脳室下角、18:海馬体、19:海馬傍回、20:橋、21:上小脳脚、22:歯状核


01. Gyri orbitales(眼窩回)Orbital gyri

 →嗅溝と眼窩溝の間、および不規則な眼窩溝にできる脳回をいう。

02. Gyrus rectus(直回)Gyrus rectus

 →大脳縦裂と嗅溝との間に成立する長い脳回。眼窩の上、眼窩に内側縁がのっている。

03. Tractus olfactorius(嗅索)Ollafactory tract

 →嗅索は前有孔質に向かい、そこではっきり区別できる外側および内側嗅条に分かれる。嗅条の表面には薄い灰白質があってそれぞれ外側、内側嗅回とよばれる。外側嗅条と外側嗅回は前有孔質の外側縁を通って皮質の梨状葉皮質にいたり、その部分と、扁桃体の皮質内側核に終止する。

04. Gyrus temporalis superior(上側頭回)Superior temporal gyrus

 →上側頭回は外側溝と上側頭溝の間にある。上側頭回の後部付近には感覚性言語中枢sensory speech center(ウェルニッケ中枢Wernicke's area)があり、これは聞いた言葉を理解する中枢であるという。一次聴覚野は聴覚の中枢で、側頭葉の上側頭回の上面(Brodmannの41野)にある。二次聴覚野は一次聴覚野の周囲(42、22野)にある。一次聴覚野で聞く音の意味はこの皮質領域で理解される。ウェルニッケ中枢の障害時には、言語の理解ができない。ちょうどしらない外国語を聞くのに似ている。また、自己の発する言語音を聞きながら発声をすることができないので、理解できるような言語を発することもできなくなる。乳児のようにチンプンカンプンの発語となる(jargon aphasia)。このように感覚性言語野の障害で起こる失語を感覚性失語症sensory aphasiaまたは言語聾word deafnessという。感覚性言語中枢と聴覚領のすぐ下の上側側頭溝には、眼で見た物の動きを総合して認識する神経細胞が存在する。一側の一次聴覚野の障害では、反対側の聴力に障害が起こるが、聴力が完全に失われることはない。一側の聴覚器からの入力は両側の聴覚野に達するためである。二次聴覚野の障害が起こると、聞く音の意味を理解することができない。これを聴覚失認auditory agnosiaという。

05. Infundibulum(漏斗)Infundibulum

 →視床下部の腹側方の突出部とその中にある第三脳室の陥凹によって、漏斗が形成される。漏斗の最も遠位に突出した部分が下垂体後葉(神経下垂体)であり、漏斗の突出部と正中隆起を結合する組織は漏斗柄とよばれる。

06. Gyrus temporalis medius(中側頭回)Middle temporal gyrus

 →側頭葉には大脳回が3列に並んでいる。つまり中央の上側頭溝と下側頭溝に挟まれた脳回が中側頭回である。

07. Nervus oculomotorius(動眼神経)Oculomotor nerve

 →この神経の主成分は動眼神経主核から出る体性運動性のもので外側直筋および上斜筋以外の眼筋を支配するが、このほかさらに副交感性の動眼神経副核[Edinger-Westphal核]から出る線維が加わる。以上の2核から出る線維は多数の根をつくって大脳脚内側溝から出て1神経幹となり、滑車神経、外転神経および眼神経とともに、蝶形骨体の両側にある海綿静脈洞の上壁に沿ってすすみ、上眼窩裂を通って眼窩内に入り、上下の2枝に分かれる。上枝は上瞼拳筋および上直筋に、下枝は内側直筋、下直筋および下斜筋に分布する。また下枝からはきわめて短い動眼神経からの根が出て、毛様体神経節に入るが、これは動眼神経副核から出て、下枝を通って毛様体神経節に入る副交感線維にほかならない。動眼神経を完全に損傷すると、その支配を受ける同側の筋に下部神経麻痺が生じる。すなわち、眼瞼拳筋麻酔によって眼瞼は完全に下垂する(伏し目になる)。支配外眼筋の麻痺と外側に転位(外斜視)する。瞳孔は完全に散大し(散瞳)、瞳孔対光反射およびレンズの調節も消失する。後2者は症状は内臓性遠心線維の切断によって起こる。動眼神経と中脳腹側部の皮質脊髄路の線維を損傷すると、同側の動眼神経麻痺と対側の片麻痺を起こすが、これを臨床的にWeber症候群という。この症候群はまた上追う胎生片麻痺として知られ、外転神経と皮質脊髄路を含む橋の障害(中交代性片麻痺)および舌下神経と錐体を巻き込んだ延髄の障害(下交代性片麻痺)の際に起こる症候群と同様である。

08. Nervus trochlearis(滑車神経)Trochlear nerve

 →これは脳神経中最少のもので、滑車神経核からでて上斜筋を支配する鈍体性運動性神経である。この神経は脳の背側から脳を去る唯一の脳神経で、下丘のすぐ後方で、上小脳脚と上随帆小帯との間から出て、大脳脚をめぐり、(側頭骨)錐体尖の近くで硬膜を貫いて海綿静脈洞の上壁に達し、動眼神経の外側から上側に向かって前進し、上眼窩裂を通って眼窩内に入り、上直筋、上眼瞼挙筋起始部の上を前内側にすすんで、上斜筋に分布する。

09. Syrus temporalis inferior(下側頭回)Inferior temporal gyrus

 →下側頭回は下側頭溝の下方にある。

10. Locus coeruleus(青斑)Locus ceruleus

 →第四脳室の側壁中で、細長くのび、上窩の上方に続いている部分は浅くくぼみ、青黒く見える細胞群を青斑という。

11. Ventriculus quartus(第四脳室)Fourth ventricle

 →第四脳室は菱脳の中にできる脳室で、頭方は中脳水道に、尾方は中心管につづく。第四脳室はその上壁をなす第四脳室蓋と底部の菱形窩により囲まれる。第四脳室蓋の前方は左右の上小脳脚とその間にある薄い白質板の上随帆とからなる。上随帆は尾側に伸びて上随帆小帯とあんる。第四脳室蓋の後方は下随帆と第四脳室脈絡組織とからなる。前者は虫部小節と片葉との間にある薄い白質板で、その下面をおおう上衣細胞の尾方延長部は軟膜によっておおわれる。この軟膜が第四脳室脈絡組織(上衣細胞と粘膜とを脈絡組織と呼ぶ場合もある)で、そこに出入る血管とともに脈絡叢をつくる。第四脳室脈絡組織の延髄への付着部が第四脳室ヒモである。第四脳室は左右の第四脳室陥凹にひ開く第四脳室外側口(Lateral aperture)と尾方の第四脳正中口とによりクモ膜下腔と交通する。

12. Nucleus fastigii; Nucleus medialis cerebelli(室頂核、小脳内側核) Fastigial nucleus; Nucleus medialis cerebelli

 →室頂核は小脳核のうち最も内側で、第四脳室上壁の正中線知覚に位置する。核の中で細胞に差があり、小型細胞が腹側を示す。この核の外側縁の細胞は腹外側に伸びて前庭神経核に向かっているが、GolgiⅡ型細胞は存在しないようである。他の小脳核の細胞と異なり、室頂核細胞からは交叉性および非交叉性軸索が出、そのうち交叉性のものは核の吻側部から多く出る。小脳核の細胞はPurkinje細胞とは異なり、促進的で、小脳の外に投射する。免疫組織化学の研究結果から、小脳核の全ての細胞の促進性伝達物質はグルタミン酸塩およびアスパラギン酸塩であるらしいと考えられる。小脳皮質からの唯一の出力であるプルキンエ細胞は一定の配列様式をもって小脳核に投射し、小脳髄質中に存在する細胞群(小脳核)から起こる促進性出力系に対して抑制的に働く。

13. Vermis cerebelli (小脳虫部)Vermis of cerebellum

 →小脳虫部は小脳のなかで系統発生学的に古い無対の部分。

14. Sulcus olfactorius(嗅溝)Olfactory sulcus

 →大脳縦裂に最も近く、これと並行して走る溝。嗅球と嗅索が収まる。

15. Chiasma opticum(視交叉)Optic chiasm

 →視(神経)交叉は視床下部の漏斗の吻側にある扁平な線維板で、X形を呈する。視交叉の背側から両側に開いて出る線維束は視索である。第三脳室の終板と灰白隆起の間で視交叉は第三脳室の底の一部を成す(視交叉陥凹)。視交叉はその上面で(終板の前方)前交連動脈と接し、下面はトルコ鞍の鞍隔膜の上に乗っている。したがって下垂体前葉から発生する腫瘍が視交叉を圧迫することがある。

16. Corpus amygdaloideum(扁桃体、扁桃核、扁桃体複合核)Amygdaloid body; Amygdaloid complex

 →扁桃体または扁桃核はアーモンドに似た形をした系統発生学的に古い核で、原始線条体とも呼ばれ、辺縁系における重要な神経核をなしている。扁桃体は側脳室下角の前端部の前にあり、一部その前内側壁と前背側壁を作り、前頭断では大きい不規則な卵円形の細胞集団をなし、レンズ核の腹側にある。この核は多数の亜核からなり、系統発生学的に古い内側核群とやや新しい外側核群に分かたれる。扁桃核は周辺の皮質や嗅球、その他の嗅脳部、中隔野などから線維を受けるが、海馬からの直接の線維はないらしい。扁桃核の遠心路には背側の分界条と腹側の遠心系がある。分界条は扁桃核から起こって尾状核尾の内側縁に沿って上方、ついで前方に向かい、視索前部、視床下部の前核および腹内側核に分布する。腹側遠心系はレンズ核の腹側を内側方、前方に走り、視索前部、中隔野、尾状核頭腹側部、嗅脳後部、前交連などになどに入り、一部の線維は内側前脳束に入って主として視床下部外側核に分布し、また一部は下視床脚を通って視床内側核に入る。扁桃体は視床・視床下部や前頭葉・側頭葉の新皮質との間に複雑な線維連絡をもつ。扁桃体は本能・情動による行動の中枢で、その線維連絡によりいろいろな体性および内臓機能と関連すると考えられている。

17. Cornu temporale; Cornu inferius(側脳室の側頭角、側脳室の下角)Temporal horn; Inferior horn

 →側脳室の下角(側頭角)は側頭葉に向かって前下方に突出した部分で、この上外側壁は主として脳梁膨大から放散する脳梁線維からなり、これを壁板という。下壁には側副溝によるたかまり、すなわち側副隆起があり、その後方は三角形をなし、側副三角と呼ばれ、後角まで延びている。内側壁は複雑で、上壁との境界部に尾状核尾および分界条があり、その下に上衣層によっておおわれた側脳室脈絡叢があり、さらにその下には脳弓脚の続きである海馬采がある。

18. Hippocampus(海馬体)Hippocampal formation

 →海馬体は胎生期には海馬溝に沿って大脳半球壁に横たわっている。海馬溝は脈絡叢が側脳室に入り込む場所である脈絡列のすぐ上をこれと平衡に走る。側頭葉が形成されると、海馬溝と脈絡裂は下方かつ前方に移り、それぞれ室間孔から側脳室下角にふくれ出して海馬体を形成する。

19. Gyrus parahippocampalis(海馬傍回)Parahippocampal gyrus

 →海馬傍回は海馬溝の下方、側副溝との間に大きな回である。海馬傍回の皮質の細胞構築は海馬台前部から順次海馬台、前海馬台を経て海馬体、歯状回にいたる間に次第に6層から3層構造に移り変わる。嗅内領(28野)は6層構造の皮質であるが、より内側ではある層が脱落して再構成が行われる。海馬体皮質には基本的な多形細胞層、錐体細胞層、分子層よりなる3層構造がある。これらの細胞の軸索、樹状突起の配列によりいくつかの層が二次的にできる。錐体細胞の軸索は海馬白板に投射し脳弓の海馬采となる。

20. Pons(橋)Pons

 →ponsとは、「橋(ハシ)という意味である。腹側から見ると左右の小脳半球の間に架かった太鼓橋の様に見えるところから橋という名前が付けられた。比較解剖学的には、橋が延髄から区別されるのは哺乳類に限られ、橋は人類で最もよく発達している。後脳の腹側部にあたる。すなわち、小脳の腹側に位置しており、延髄と中脳の間に介在する。橋の腹側面は横走する幅広い神経線維束(横橋線維)によっておおわれる。この神経線維束はさらに橋の外側面において、橋と小脳を連結する中小脳脚を形成しており、左右の小脳半球の間にかかる「橋」のようにみえる。橋は既にユースタキウスEustachius (1524-1574)の図に載っているというが、この図は1714年まで出版されなかったので、Ponsという名称は、このような外見に基づいて、イタリアの解剖学者であり外科医でもあったC.Varolio (1543-1573)が用いたものである(ヴォロイオ橋)。橋は横断面では橋腹側部または橋底部と胸背部

21. Pedunculus cerebellaris superior(上小脳脚)Superior cerebellar peduncle

 →上小脳脚(結合腕Brachium conjunctivum)これは主として小脳を出る線維からなる。その主体をなす線維は小脳視床路と小脳赤核路である。これらは主として歯状核から出て、腹内側方に進んで深部に入り、中脳下半で大部分交叉し、上小脳脚交叉(結合腕交叉)を作り、反対側の中脳被蓋を上行し、一部は赤核に終わるが(小脳赤核路)、一部はsらに視床の前外側腹側核に至る(小脳視床路)。なお上小脳脚の表面を前脊髄小脳路が逆行して小脳に入り、主としてその前葉に分布する。また鈎状束は室頂核から出て大部分交叉し、上小脳脚の背外側をへて鈎状に曲がり、下小脳脚内側部の上部来て前庭神経各核にならびに橋、延髄の網様体内側部に分布する。

22. Nucleus dentatus; Nucleus lateralis cerebelli(歯状核、小脳外側核)Dentate nucleus; Nucleus lateralis cerebelli

 →歯状核は小脳核中最大の核で、半球の白質中に位置する。この核は横断切片では渦巻形の灰白質が袋状に並び、袋の口(歯状核門)が内側方に向かい、下オリーブ複合核によく似ている。核は主に大型で多くの分枝した樹状突起をもつ多極細胞よりなる。

 

最終更新日: 19/02/05

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