Band1.427   

2. 単に側方に挙上することreine Seitenhebungには,1. 三角筋が棘上筋および棘下筋とともに上腕に作用する,また上腕二頭筋の長頭が上腕に作用するのである.2. また同時に[外]側鋸筋の下部ならびに僧帽筋の中部および下部が肩甲骨を回す運動がおこる.

3. 垂直に上にあげるときVertikalhebungには,2. に述べた諸筋が僧帽筋の上部と肩甲挙筋との共同活動により,肩甲骨を回すことによっておこなわれる.

4. 背方に挙上することRückhebungは,三角筋の後部および大円筋,広背筋がはたらき,かつ肩甲挙筋の共同作用のもとにおこなわれる.

5. 内転するときAnziehungには,大胸筋,広背筋,三角筋の後部,かつ大円筋が作用する.

b) 外旋運動Auswärtskreiselungは,棘下筋,棘上筋,小円筋,三角筋の後部によっておこなわれる.

c) 内旋運動Einzwärtskreiselungは肩甲下筋大胸筋,広背筋,上腕二頭筋の長頭によっておこなわれる.

c)前腕の筋群Muskeln des Vorderarmes

 前腕の筋は次の2群に大別される.それは,掌側の筋すなわち屈筋群と背側の筋すなわち伸筋群とである.これらの両群はそれぞれさらに浅層と深層とに区別される.

1. 屈側の筋群Muskeln der Beageseite

α)浅層oberfldichl, iche Schicht

1. 円回内筋M. pronator teres. (図535, 538)

 この筋はかなり長くてその停止に向って細くなる,横断面が円い筋であり,2頭をもっている.その1頭すなわち上腕頭Caput humeraleは上腕骨の尺側上顆から,同時に尺側上腕筋間中隔から起って,また顆上突起が存在する場合にはこれから起っている.さらに深部にいま1つの頭すなわち尺側頭Caput ulnareがあって,これは尺骨の烏口突起から出ている.これら2つの筋頭のあいだを正中神経が走る.この筋は橈骨の後面および外側面で,回外筋の停止より下方に停止している.

 神経支配:ふつうは正中神経によるが,この筋の全部あるいは一部が筋皮神経によって支配されていることがあり,これは筋皮神経と正中神経との間に吻合があるためである.

 脊髄節との関係:CVI, VII.

 作用:この筋は前腕を回内し,前腕を曲げることにあずかる.

 変異:しばしばその尺側頭が欠如したり,痕跡的であったりする.尺側,上腕両頭の部分がたがいに独立していることが時にある.上腕筋間中隔および顆上突起から起る筋束が第3の頭ともいうべきものを作っている.上腕頭の起始部には時として種子骨がみられる.上腕筋・長掌筋.浅指屈筋との結合が知られている.

2. 橈側手根屈筋M. flexor carpi radialis. (図535)

 この筋は長い紡錘形の筋で,上腕骨の尺側上顆ならびに前腕筋膜から起り,その腱が大多角骨結節における溝のなかにある橈側手根屈筋腱管を通り(図430),第2と第3中手骨の底に固着しており,そこでは橈側手根屈筋の腱鞘Vagina tendinis m. flexofis carpi radialisにより取りまかれている.

 神経支配:正中神経による.

 脊髄節との関係:C. VI, VII.

 作用:前腕を回内し,手を曲げ,且つこれを橈側に外転する.

 変異:主としてこの筋の停止部に変化がみられる.Le Doubleは105個体中で29回異常のものをみた.これらの異常のなかで最も多く見られるのはこの筋が完全に,あるいは部分的に大多角骨に終ることである.その他では第3,第4中手骨,舟状骨およびその他の場所に停止する場合がある.

S.427   

最終更新日13/02/03

 

ページのトップへ戻る