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b)腓側近位膝動脈A. genus prdximalis fibularisは大腿骨の腓側顆の上方で大腿二頭筋の下を前方にすすみ膝関節動脈網にいたる.

c)中膝動脈A. genus mediaは膝窩の高さで始まり,膝関節包の後壁にはいり,辱交叉靱帯および滑液膜ヒダに枝をあたえている.

d)脛側遠位膝動脈A. genus distalis tibialisは脛骨の内側顆の下方で内側側副靱帯に被われて膝関節動脈網にすすむ.

e)腓側遠位膝動脈A. genus distalis fibularisは腓腹筋の脛側頭の下,ついで大腿土筋頭の腱と腓側側副靱帯の下を骨に密接して外側に走り,腓骨小頭の上方で腓側半月に沿って膝の前面にいたり膝関節動脈網に入る.

 膝窩動脈の変異:すでに述べたように少数の例においては内腸骨動脈から起こっている.そのほか時おり高いところでその2本の終枝に分れる(ヨーロッパ人で9.7%,日本人で2.7%, Adachi).ときどき(1.5%において,Adachi)膝窩動脈が3本の終枝,つまり後脛骨動脈,前脛骨動脈および腓骨動脈に分れている.後脛骨動脈が欠けていることがあり,その代りに分岐部から腓骨動脈が出ている.

中膝動脈は腓側近位膝動脈の枝となっていることがきわめて多い.

前脛骨動脈Arteria tibialis anterior(図676, 678)

 この動脈は下腿骨間膜の上部の孔を通って下腿の前がわに達して足背まで下行する.

 局所解剖:その経過のあいだは脛腓靱帯結合のところまで骨間膜の上に密接していて,特別の線維性の膜がこれを被っており,この膜のために前脛骨動脈の通路は管のようになっている.下腿ではその全経過を通じてその走行は前脛骨筋の外側縁に沿っており,この動脈の外側にはまず長指伸筋があり,ついで長母指伸筋がある.足関節の近くでは長母指伸筋の腱の下,および十字靱帯の下を通って足背にいたり,その後は足背動脈A. dorsalis pedisと呼ばれる.そこでは動脈が表面に近くあって筋膜と皮膚とに被われ,長母指伸筋の腱の外側を第1骨間隙にすすみ,その間隙の初めのところで2本の終枝である1背側中足動脈A. metatarsea dorsalis Iと穿通骨間動脈A. metatarsea perforansとに分れる.穿通骨間動脈は骨間隙の近位端を通って足底にいたり,足底動脈弓の形成にあずかる.第1背側中足動脈は第1骨間隙のなかを遠位にすすむ(図678). 前脛骨動脈は2本の静脈を伴っている.深腓骨神経は腓骨小頭を越えて内側にすすみ,次第にこの動脈に近づき,ついで動脈に密接する.

 神経:下腿骨間神経の枝と深腓骨神経からの多数の小枝(HahnとHunczek)による.

 前脛骨動脈は多数の筋枝のほかに次の枝を出している.

a)前脛骨反回動脈A. recurrens tibialis anteriorこの動脈は前脛骨動脈が骨間膜を貫いてすぐのところから出て,前脛骨筋の筋束のあいだを上方に向かって膝関節動脈網にいたる.

 後脛骨反回動脈A. recurrens tibialis posteriorは欠けていることが多い.後脛骨動脈の初めの部分から,もしくは膝窩動脈の終りの部分から出ることが多く,膝窩筋の下を膝関節に向かってすすむものである.

b)前脛側踝動脈A. malleolaris tibialis anteriorは足関節の近くで始まり前脛骨筋の腱の下を脛側踝動脈網Rete malleolare tibialeにいたる.

c)前腓側踝動脈A. malleolaris fibularis anteriorは前者と同じ場所で始まり長指伸筋と第3腓骨筋の腱の下を腓側踝動脈網Rete malleolare fibulareにいたる.

 足底動脈からは次のものが出る.

a)内側足根動脈Aa. tarseae tibiales.これは2~3本の小さい枝で長母指伸筋の腱の下を足の内側縁に達する.

b)腓側足根動脈 A. tarsea fibularis.この動脈はたいてい距骨頭と舟状骨の高さで十字靱帯の遠位において始まり,足根骨の上を越え,短指伸筋の下を外側かつ遠位の方向にすすんで立方骨にいたり,その枝は足背動脈網に入る.

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最終更新日13/02/03

 

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