Rauber Kopsch Band2. 259   

 形態学的なこと:形態学的に特に興味があるのは前立腺小室と射精管の開口である.泌尿器生殖器系が精丘のところで相合して,両者がそれより先は同一の管を通路として利用している.形態学的にはこの通路はけっして尿道そのものではなくて,尿生殖洞Sinus urogenitalisであり,その縁が癒合して管状になったものである.これは女の尿生殖洞に相当するのである.

 ときとして男の胎児で尿生殖洞が大なり小なりの広さにおいて閉鎖しないで,開いたま,のことがある.

このような状態を尿道下裂Hypospadiaといい,そのような人をHypospadiaei(尿道下裂者)という.

 尿道の神経としては交感神経性の枝のほかに陰茎背神経と会陰神経の枝がくる.上皮のなかに上皮内自由神経終末がみられる.

C.会陰Perineum, Dammと骨盤出口の筋Musculi exitus pelvis

 会陰Perineum, Dammという名前はもともと肛門と外陰部のあいだの小さい領域だけをいうのである.というのはこの領域は肛門と外陰部のあいだに1つの土手Damm のようにはさまれているからである.広い意味では会陰は骨盤出口の全体を指し示すのである.

 骨盤出口の筋はa)外陰部の筋b)腸の末端の筋である.これら2群の諸筋はたがいに続いており,合せて会陰筋Musculi perineiと名づけられる.

 腸の下端に属する横紋筋は肛門挙筋M. levator ani,尾骨筋M. coccygicus,外肛門括約筋M. sphincter ani externusである.

 外陰部に属する筋はやはりみな横紋筋であって,球海綿体筋・坐骨海綿体筋・浅会陰横筋・深会陰横筋・隔膜尿道括約筋Mm. bulbocavernosus, ischiocavernosus, transversus perinei superficialis, transversus perinei profundus, sphincter urethrae diaphragmaticaeである.

a)外陰部の筋

α)男の場合

1. 球海綿体筋M. bulbocavernous(図262, 266, 324, 333, 335)

 この筋は男の場合には尿道海綿体球とこれに続く尿道海綿体の一部を取りまいている.

 完全に発達している場合にはこの筋は3層からなっているが,深層のものは欠如していることがある.浅層のものは尿道海綿体球の白膜に織りこまれている正中位の固い結合組織性の1条から起り,前方ならびに外側に向う束となって,各側とも一部は陰茎海綿体の側面に達し,一部は左右の陰茎海綿体脚のあいだにある固い結合組織に達している.第2番目の層はむしろ矢状方向に走っており,尿生殖隔膜の外面の後部から起こっている.ここから起る束はしばしば外肛門括約筋からの線維で補強されており,尿道海綿体に終るか,あるいは浅層のものが停止するところにすすんでいる.第3番目の深層のものは輪走する平たい束からなっていて,これは尿道海綿体球の後部を包んでいる.

 球海綿体筋は尿道をせばめて短縮し,その内容を断続的に押しだすことができる.それゆえこの筋はM. compressor bulbi(球圧縮筋),またはM. ejaculator seminis(射精筋)とも名づけられている.

2. 坐骨海綿体筋M. ischiocavernosus(図324, 333, 335)

 この筋は内側,下方,外側というようないくつかの束をもって坐骨枝の恥骨部から起り,陰茎海綿体脚を包んでおり,陰茎海綿体の下面と側面とに付着している.

 浅層の束はその停止腱が陰茎背にまでのびており,ここで他側の相当する腱と合して係蹄を作っていることがある

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最終更新日13/02/03

 

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