Rauber Kopsch Band2. 392   

7. 延髄Medulla oblongata,横断面VI(図461)

 この断面はオリーブの上方1/3を通り,菱形窩の灰白質内の諸核は前に示した断面とだいたい同じ配列をしているが,ここでは後索外側部核もまた見られなくなった.正中溝の左右両がわには舌下神経核Nucleus originis nervi hypoglossiがあり,その背方には内側隆起核Nucleus eminentiae medialis,さらに側方には内側から外側に並んで介在核Nucleus intercalatus, 灰白翼核Nucleus terminalis alae cinereaeおよび前庭神経内側核Nucleus terminalis nervi vestibuliがある.

 索状体は著しくその大きさを増している.その外面は縦断された神経線維と灰白質とに被われている.この両者は内耳神経に属するのである.

 弧束Fasciculus solitariusとその核とはいっそう強大になった.前庭神経下行路Radix descendens n. vestibuliの線維束の数と太さが増して,それらの束のあいだには数多くの大きな神経細胞がみられる.

 三叉神経脊髄路核Nucleus terminalis tractus spinalis nervi trigeminiは前よりも小さくなったが,三叉神経脊髄路Tractus spinalis nervi trigeminiの線維団はなおもその量を増し,オリーブ小脳路と歯状核オリーブ路の神経束および迷走神経の根線維によっていくつかの束に分けられている.

 内側毛帯Lemniscus medialisの線維団は引き続き増加している.両側のオリーブ核のあいだにある白網様質の部分は毛帯オリーブ間層Stratum interolivare lemnisciと呼ばれる.

 オリーブ核Nucleus olivaeはこの高さで最もよく発達している.内側副オリーブ核Nucleus olivae accessorius medialisはなお発達が弱いままであるが,これに反して背側副オリーブ核Nucleus olivae accessorius dorsalisはその発達が減弱していない.

 錐体はつよく腹方に突出し,これを囲む弓状核Nuclei arcuatiは前の断面におけるよりもはるかに大きくなり,主として錐体の内側面にある.前外弓状線維Fibrae arcuatae externae ventralesは豊富に存在する.

8. 延髄Medullaoblongata,横断面VII(図462)

 この断面は第四脳室外側陥凹の上方の部分を通り,外側陥凹の上方の壁が右側では切線状tangentialに切られている.第四脳室外側陥凹の外側壁は片葉柄により,内側壁は索状体およびその上にある内耳神経の諸核により作られている.その上方の壁も蝸牛神経の終止核によって作られている.この断面においてはもはや舌下神経核は見られないで,その場所にある神経核の集りは舌下神経前位核Nucleus praepositus n. hypoglossiと呼ばれる.内側隆起核はなおここでも存在している.

 菱形窩の灰白質のその他の全領域は前庭神経内側核(三角核)Nucleus terminalis medialis(triangularis) n. vestibuliである.蝸牛神経腹側核Nucleus terminalis ventralis n. cochleaeは索状体の腹方にあって,舌咽神経が延髄に入るところにまで達している.これらの両核は蝸牛神経背側核Nucleus terminalis dorsalis n. cochleaeによってたがいにつづき,この背側核が索状体の外面と第四脳室外側陥凹の上壁を被っているのである.

 孤束Fasciculus solitariusはこのあたりで終る.これは舌咽神経と迷走神経との下行性繊雑よりなっているので,この両神経の根線維が入る高さよりももっと上方では存在しないわけである.そしてこの高さでは舌咽神経の上部の線維束が脳に入っている.これに反して前庭神経下行路Radix descendens n. vestibuliはなおもいっそう強大になる.

 両方の副オリーブ核はもはや存在しないが,オリーブ核Nucleus olivaeはまだここでも強く発達していて,そのためにオリーブ小脳路と歯状核オリーブ路に属する多数の線維束がやはり三叉神経脊髄路と交わって,さらに背方にすすんで索状体に達する.

S.392   

最終更新日13/02/03

 

ページのトップへ戻る