Rauber Kopsch Band2. 398   

 核については脳室底の灰白質のなかには内側から順に内側隆起核,前庭神経外側核および前庭神経背側核が存在する.正中溝のそばで両側にある卵円形の線維束は顔面神経の内膝の横断面である.その腹方には内側縦束(後縦束)Tractus longitudinalis medialisがあり,その線維束はたがいに密接して並び,横断面で三角形の領域を占めている.内側縦束の側方には外転神経の根線維束があり,これは外転神経核の内側面から出てまず弓状に内側に曲り,次いで斜めに下方かつ腹方に網様質,内側毛帯および橋縦束を貫いて走る.橋から出るところは,橋の下縁であって,この断面には現われていない.外転神経核の背外側では顔面神経根の第2部Pars secunda radicis nervi facialisが,三叉神経脊髄路のすぐ内側縁に沿って腹方に走る.三叉神経脊髄路は著しくよく発達し,その中には数多くの灰白質塊が散在している.

 顔面神経根の第2部の内側にはU字形に曲つた板状の灰白質があって,これは後脳オリーブ核Nucleus olivaris metencephaliである.その内側に接する2群の神経細胞は台形体核Nucleus trapezoides, Trapezkernとよばれ,これは後脳オリーブ核と同様に台形体Cotpus trapezoidesに属している.台形体というのは内側毛帯の範囲を通って横走する線維の群であり,これは正中線で交叉している.

 この線維は蝸牛神経核の細胞の神経突程であり,それゆえ聴覚伝導路の二次ニューロンであって,その一部は後脳オリーブ核と台形体骸とに終り,この両核には聴覚伝導路の三次ニューロンの神経細胞がある.その神経突起については後にも述べるが,(聴覚をつかさどる)外側絨幣Lemniscus lateraIis(acusticus)となって四丘体に達する(図501).

 内側毛帯の領域はまだ縫線に密接しているが,しかしここでは延髄の高さにおけるよりもいっそう外側に延びて,そのだめに背腹の方向には平たくなっている.

11. 橋Pons,横断面III(図465)

 次の断面では橋底部はいままでよりもずっと大きくなり,それに反して橋背部はその大いさを減じている.橋底部のなかでは橋縦束がいっそう高度に分散して,その占める領域が大きくなっている.橋背部では脳案底の表てにある灰白質のなかに依然として内側隆起核Nucleus eminentiae medialisが,また側方には前庭神経背側核Nucleus terminalis doirsalis n. vestibuliが見られる.また正中線のそばでその側方には三角形を示す内側縦束Tractus longitudinalis medialisの領域があり,その腹方には被蓋網様核Nucleus reticularis tegmentiがあって,さらにもっと腹方に内側毛帯Lemniscus medialisがあるが,これはすでに正中線からいくぶん離れている.台形体の線維は内側毛帯を貫いて横の方向に走る.後脳オリーブ核Nucleus olivaris metencephaliと台形体核の上端が前と変らない場所に見られ,ちょうどその所には外側毛帯Lemniscus lateralis, laterale Schleifeの横断された線維が集まっていて,これは聴覚伝導路の三次ニューロンとして上方に進むのである.

 三叉神経の根線維は,右側では大きな広がりをもって断面上に現われており,内側にはこの神経の運動性の線維と運動性の核すなわち三叉神経起始核Nucleus originis n. trigeminiがあり,外側にはその知覚性の線維と知覚性の核,すなわち三叉神経終止核Nticleus terminalis n. trigeminiがあり,ここから(縫線に運する斜断された線維すなわち三叉神経交叉線維Fibrae cruciantes n. trigeminiは三叉神経の二次伝導路に属している.

12. 橋Pons,横断面IV(図466)

 次の断面は橋の上部と滑車神経の出るどころとを通る.

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最終更新日13/02/03

 

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