Rauber Kopsch Band2.526   

 まれには伏在神経がすでにのところで終わって,下腿では脛骨神経の1枝がそれに代つて分布していることがある.

6. 閉鎖神経N. obturatorius(図551554, 556)

 多くは3根よりなり,これらの根は第2腰神経係蹄ならびにLIIおよびLIII, LIVに由来するもので,すでに大腰筋の内部で集まって1本になっている.この幹は大腰筋の内側縁に沿って下方に走り,総腸骨動静脈のうしろで小骨盤に入り,次いで閉鎖管に達する.閉鎖管の内部でその2終枝に分れる.これが浅枝Ramus superficialisと深枝Ramus profundusとである.

 この神経は内転筋群の全部に運動性の枝をあたえ,また1皮枝を膝の内側面にだす.

 閉鎖管からでる前にこの神経はただ1本の神経,すなわち外閉鎖筋への筋枝Ramus muscularisをだすだけで,この筋枝は閉鎖管を通りぬけて外閉鎖筋にはいるのである.

a)浅枝Ramus superficialisは短内転筋と長内転筋とのあいだを通り,次の諸枝に分れる:

α. 恥骨筋への1枝,但しその存在は不定である;--β. 短内転筋への1枝;--γ. 長内転筋への1枝;--δ. 大腿薄筋への1枝.この枝と共通の幹をなして起るものは

ε)皮枝Ramus cutaneusである.これは長内転筋と大腿薄筋とのあいだで大腿の内側面の皮膚に達し,大腿神経の前皮枝と結合している.

b)深枝Ramus profundusはしばしば外閉鎖筋を貫き,この筋と短内転筋とのあいだを通って大内転筋の前面に達し,次の諸枝をだす:

α. 股関節への1~2本の関節枝Rami articulares;--β. 大内転筋の上部への1枝;--γ. 大内転筋の下部への1枝;--δ. 膝関節の関節包の後壁への1枝,この枝の存在は不定である.

 変異:N. obturatorius accessorius(副閉鎖神経)のみられることがまれでない.これはLIIIとLIVとからおこり,恥骨の上を越えて大腿に達し,閉鎖神経と結合し,恥骨筋と股関節に枝分れする.

 

5.坐骨神経叢Plexus ischiadicus, Gesäßgeflecht

 坐骨神経叢はLIVの1/2,LVとSIとSII,およびSIIIの1/2より発し,LIVの1/2とLVとはいっしょに腰仙骨神経幹Truncus lumbosacralisをなしている.腰仙骨神経幹は分界線を越えて小骨盤に入り,ここで仙骨神経叢を構成するその他の神経と結合する.SIIIの大部分は坐骨神経叢に,残りの部分は陰部神経叢に入る.

 上に述べた多くの神経束が大坐骨孔に向かって集り,合流していくえにも組み合った1つの板(図551, 565)となり,その尖端から坐骨神経N. ischiadicusが出ている(図557).仙骨神経叢の個々の根の長さはまちまちであり,諸根の長さは仙骨神経叢あ上端から下端へとだんだんと短くなっている.個々の根の太さも同じ関係であって,てれらの根は5腰神経から次第に太さを減じ,第2仙骨神経からは急速に細くなる.--仙骨神経叢は部分的に梨状筋の前面にある.SIは第1前仙骨孔からこの筋の上縁を越えてくる,SIIIはこの筋の下縁の下から出る.腰仙骨神経幹とSIのあいだを上啓動脈が後方に進み, SIIとSIIIとのあいだを下臀動脈が下方へ走る.

a)坐骨神経叢の結合

1. LIVからの1結合枝によって腰神経叢とつながる;--2. SIIIの下半分によって陰部神経叢と結合する;--3. 交通枝によって交感神経のこれと隣接する部分と結合している.

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最終更新日13/02/03

 

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