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比較的太い幹ではその間隔が6~12mmとなり,胸管でほ数cmもの間隔となる.特にリンパ管がリンパ管に開口するところにそれがあるのみでなく,リンパ本幹が静脈に移行するところは必ず弁によって護られている.ときどきリンパ管の途中にある弁の丈が低くなっていて,リンパの流れが逆の方向に容易にそこを通れるようになっている.毛細リンパ管および非常に細いリンパ管の幹は弁を全くもっていない.もっとも細いリンパ管の幹はその壁に多数の小さな突出部があって,ときにはこれが輪状をなしていることさえありうる.

[図702] リンパ管の内皮 イヌの胃粘膜から.(Disse)

[図703] リンパ管の弁Valvulae vasorum lymphaceorum,切開してひろげたところ. (Sappeyによる)

IV. リンパ管網Lymphgefäßnetze

 リンパ網とリンパ叢は毛細リンパ管の領域にも,またリンパ管の大小いろいろの幹のあいだにも広がっている.網と叢の形が,とりわけ毛細リンパ管の領域においては,それらがリンパ管の主要な姿であるといってもよい.毛細管リンパ網Lymphkapitlarnetzeと毛細血管の関係をいうと,前者は後者にくらべて粘膜,漿膜および皮膚の表面からいっそう離れたところにあり,毛細血管はこれらの表面にかなり近く存在している.そして毛細リンパ管の網の交叉点は毛細血管がからみついて囲んでいる組織の部分の中心か,または中心の近くにある.しかし一般的にみて,毛細リンパ管は毛細血管より大きな網目をなしている.また毛細リンパ管網の形はいろいろであるが,それに相当する毛細血管にくらべると,いっそう大きな一致を互いの間で示すのである.

[図704] ヒトの腸壁のリンパ管,集合リンパ小節の領域(Frey, Virchows Archiv,1863による).

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最終更新日10/08/28

 

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