Rauber Kopsch Band2. 179   

 a)髄質Substantia medullaris, Marksubstanzは単一の塊りではなくて,かなり多数の円錐形をした腎錐体Pyramides renalesからできている.腎錐体の底,すなわち錐体底Basis pyramidisはたいてい凸を画いていて腎臓の表面の方に向い,皮質のなかにうずまっている.それに対して錐体の先端は腎洞のほうに向かっていて,腎乳頭Papillae renalesという小さい円錐形の部分をもって導管の初まりである腎杯のなかに突出しており,腎杯の粘膜とつながっている.

[図240]腎臓,腎盂,およびいくつかの腎杯の前額断(Henleによる)

 左右の腎臓にはそれぞれ約12個の乳頭のあるのが普通であるが,その数はきわめてまちまちで,7個から20個の間を変動する.底における直径が6~10mmの単一の乳頭の高さは5~8mmである.少数の乳頭,特に腎臓の両端にある乳頭の底はし}乱ばかなり広くなっていて,側面に溝をもっており,2つか3つの乳頭が融合したことを暗示している.憐接する2つの乳頭が細い結合部でつながっていることが少なくない.腎杯の付着しているところは腎杯を除去すると明かな離状のくびれがあって,これを乳頭のHalsという.錐体じしんについてみても,全体として底の高さとの比例に著しい差異がある.高さはたいていわずかながら最大横径よりも大きぐなっている.F. Löfgren ( Lund 1949)は錐体の数が14個であって,7個ずつが前後の2列をなして並んでいるという.

 髄質は皮質よりも密で,そのなかを尿細管と血管がまっすぐにのびて走っているためにはっきりした条が見える.乳頭のところは錐体の実質が皮質よりも明るくて,髄質の内帯Innenzoneとよばれ,それに対して錐体の底は皮質よりも暗くて,たいてい青赤色の条が見える.その部分を髄質め外帯Außenzoneという(図241).

 b)皮質Substantia corticalis, . Rindensubstanzは腎迷路Nierenlaborrinthとも呼ばれて,線維被膜と筋質膜のすぐ下にあり,表面からだいたい5~7mmの深さのところまでであって,腎臓の表層部分をなしている.

S.179   

最終更新日13/02/03

 

ページのトップへ戻る