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 新生児では1cmmの血液に690万の赤血球があることがわかっている.10才までのあいだにその数が450万まで下がり,その次の10年のあいだに500万に増すが,女では思春期までに450万に下るのに反して,男では高年まで500万という数が変わらずにつづくのである.1昼夜のあいだにあらわれる変動は食物を摂る時間に応じている.取り込まれた液体の量によってその数がいろいろなぐあいに変わるのであって,それは当然に血液の含水量が増減することによっておこるわけである.

[図102]ヒトの血液の血小板の変化 血液凝固の初期である.右下方に1個の白血球.×1600.

[図103,104]骨髄 ヒトの胸骨. 図103は×30, 図104は×300の拡大. 明るい円形の隙間は脂肪細胞である.

 白血球の数は年齢による差異のほかの著しい個体的差異を示し,また1日のうちの時刻によってもある程度変動する.新生児では生後のいく日かは1cmmに18,000の白血球が数えられた.10才までの間にはその数は12,900となる.中年の人では平均して1cmmに7, 680であり,すなわち平均値を7, 500と仮定すると,666個の赤血球に対して白血球が1個の割となる.白血球の各種の割合は:好塩基好性が0.5%,中好性が65~70%,リンパ球が25%,酸好性白血球と単核球を合わせて5~10%である.-Arneth, J., Qualittive Blutlehre und Blutkrankheiten. Leipzig.1942.

 血小板の数を決定することは,このものが不安定な構造をもち,また集団をなす傾向があるために,はなはだ困難である.1cmmにおける血小板の数はAffanassiewによると200,000~3000,000,Fusariによると180,000~250,000,Preussによれば500,000,BrodieとRussel, Prattによれば400,000~500,000である.

 血液の凝固を顕微鏡でしらべると,初めの4~5分間に血小板が特異な変化を起こし(図102),それは細胞体にも核にもおこるのである(Fr. Kopsch).すなわち細胞体が著しく増大し,核は壊れていくつかの顆粒に分かれる.細胞体の増大は液胞形成によっておこるので,血漿案の集団が泡状の観を呈するのである.

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最終更新日13/02/03

 

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