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 篩骨漏斗が鼻腔へ開口する部分を半月裂孔Hiatus semilunarisという.さらに前篩骨洞もここに開く.

 しばしば上鼻甲介のさらに上でうしろの方に小さい甲介があって,これを最上鼻甲介Concha nasalis supremaちう.1個の骨として分離された篩骨では,環状に並んだ篩骨洞の全体が外へ開いている.つまり,眼窩板(紙様板)が蓋をしていないところでは,篩骨以外の頭蓋骨が篩骨洞の蓋をしているのである.われわれは前篩骨洞と後篩骨洞とを区別しているが,前篩骨洞は中鼻道に開くもの,後篩骨洞は上鼻道に開口するものをいうのである.位置と大きさのために前篩骨洞の中でも特別扱いにされている篩骨胞Bulla ethmoideaは,鈎状突起の後稜に向かい合っている.

 眼窩板(紙様板)の上縁には2つの溝があって,前頭骨とともに眼窩頭蓋管Canalis orbitoethmoideusと眼窩篩骨管Canalis orbitoethmoideusをつくっている.そしてこれらの管が眼窩へ開くところを篩骨孔Foramina ethmoideaとよぶ.

[図226]鼻中隔(4/5)青は軟骨の部分

δ)下鼻甲介Concha nasalis inferior, untere Muschel (図222, 223, 268270)

 下鼻甲介は1対のさらのような形の骨で,その上縁で鼻腔の外側壁にくっつき,鼻腔の中に突きだして中鼻道と下鼻道とに分けている.そのふくらんだ面は内側に向かっている.また下縁は自由縁をなし,いくらか巻きこんで,厚くなっている.

 下鼻甲介の上縁は前方で上顎骨の前頭突起の鼻[甲]介稜にくっつき,なお上の方へ涙骨と接する涙骨突起Processus lacrimalisという小さい骨板を出している.さらに後方にはもう1つ外方へ弯曲して,下方へ向かう突起がある,これが上顎突起Processus maxillarisで,上顎洞の開口の下縁にはまりこんで,上顎洞の内面からの閉鎖を完全にしている.最後に第3の突起,篩骨突起Processus ethmoideusが,これまた上方へ伸び足して,篩骨の鈎状突起に接する.下鼻甲介の後端は突出し,口蓋骨の鼻甲介稜に付着している.

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最終更新日13/02/03

 

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