Band1.308   

[図437] 脊柱と骨盤右半とを結ぶ靱帯,右の股関節 後面(7/12)

しかしこの関節窩の全面のうち,軟骨に被われているのは月状面とよばれる三日月形の部分だけである.三日月のいちばん太い部分(2.5cm以上)は寛骨臼の上蓋にあり,従って腸骨体に属する.いちばん細いところは寛骨臼の恥骨部にある.月状面の両端のあいだには寛骨臼切痕Incisura acetabuliがあって,寛骨臼横靱帯および関節唇によって橋わたしされている.寛骨臼の深いところには,疎性結合組織や脂肪組織でみたされた不正四辺形の寛骨臼窩Fossa acetabuliと,大腿骨頭靱帯Lig. capitis femorisの起始部とがある.月状面の軟骨の厚さは寛骨臼の縁の近くでは0.8~3mm,寛骨臼窩の近くでは0.5~0.9 mmである.軟骨が最も厚いところは後上部にあり,最も薄いところは前下部にある.寛骨臼切痕の大部分は寛骨臼横靱帯(図440)によってみたされている.この靱帯は約1cmの高さがあるが,切痕の底までは達しないで,ここに血管や神経の通るすきまを残している.寛骨臼と横靱帯の全周をとり囲んで,幅1/2~1cmの関節唇がある.これは線維軟骨でできた三角柱で,寛骨臼の骨縁に固着し,月状面の軟骨および寛骨臼横靱帯に移行している.

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最終更新日13/02/03

 

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