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 2. 後交叉靱帯Lig. decussatum posteriusは前交叉靱帯より太くて,内側顆の外側面から起り,斜めに後下外側へ走って後顆間窩Fossa intercondylica posteriorに付く.この靱帯の一部でかなり太くて多少とも独立した線維が腓側半月の後部た達している.これは腓側半月靱帯Lig. menisci fibularisとよばれ,その太さは個体によって一定しない(図454).

 c)半月Menisciはこの関節における関節面の不一致を均らすのに役だっている.これには腓側半月Meniscus fibularisと脛側半月Meniscus tibialisの2つがある.両半月は弾性線維を混じたかたい結合組織束からなり,その自由表面は線維軟骨でうすく被われている.両者とも鎌形を呈し,横断面では三角柱状である.外面は関節包とかたく結合し,上面は同側の大腿骨願に,下面は脛骨の相当する面に接触している.尖った縁は顆間隆起Eminentia intercondylicaの方に向いている.各半月の両端は強固な線維束で脛骨の一定の場所に固着している(図320, 448).

 両半月はこまかい点で相異なっている.内側半月の方がいっそう半月に似た形で,腓側半月の方はむしろ輪に近い.また内側半月は内側側副靱帯と結合しているのに対して,腓側半月は腓側側副靱帯と無関係である.これに反して腓側半月は前方で少数の細い線維束によって前交叉靱帯とつながり,後方ではもっと太い線維束--しばしば非常に太い独立束(腓側半月靱帯Lig. meniscifibularis)によって後交叉靱帯と結合している.両半月は前方で膝横靱帯Lig. transversum genusによってたがいに結合されている.膝横靱帯ははなはだ変異に富む(図448, 451).

d)連通滑液包には次のものがある:

1. 膝上嚢Bursa suprapatellarisは大腿骨の膝蓋面

の上方にあって,大腿四頭筋に被われ,たいてい関節腔と広いつながりをもっている.しかしこのつながりは狭いことがあり,まれには全く欠けていることもある(図446, 449, 450)

2. 膝窩筋嚢Bursa musculi popliteiは関節の後壁に接して,これと膝窩筋の起始部とのあいだにある.脛腓関節とつながっていることがあり,その場合はそれによって脛腓関節が膝関節と直接つづくことになる.

 3. 脛側および腓側半膜様筋嚢Bursae musculi semimembranacei tibialis. fibularisは関節の後壁で,半膜様筋の腱の下にある.

 4. 腓腹筋脛側頭嚢Bursa capitis tibialis m. gastrocnemiiは腓腹筋の脛側頭の起始の下にあり,関節包と結合していることがある.

 腓腹筋脛側頭嚢が腓側半膜様筋嚢と合して1つになると腓腹半膜様筋嚢Bursa gastrocnemiosemimembranaceaとよばれる.

 膝関節の周辺にはなお次のような重要な滑液包があるが,これらはみな関節腔と決してつジかないか,あるい憾ごく稀につずいているものである.

 1. 膝前皮下包Bursa praepatellaris subcutaneaは膝蓋骨の前,皮膚の下にある.

 2. 膝前筋膜下嚢Bursa praepatellaris subfascialisは同じ部位に,しかし筋膜の下にある.

 3. 膝前腱膜下嚢Bursa praepatellaris subAponeuroticaは同じ部位に,しかし膝蓋骨の前面に密接,してある.これら3つの滑液包は臨床的に重要なものであるが,関節腔とつながっていることは決してない.同一の個体でこれら3つのすべてを見いだすことはまずほとんどなく,たいていそのうちの1つを,いっそうまれに2つを見るにすぎない.

 4. 膝下皮下包Bursa infrapatellaris subcutaneaは膝蓋靱帯の前面に接してある.

 5. 膝下靱帯下嚢Bursa infrapatellaris profundaは脛骨粗面の上方で,膝蓋靱帯の後面と脛骨のあいだにあり,非常にまれには膝関節とつゴいていることがある(図448, 449, 451)

 6. 脛骨粗面皮下包Bursa subcutanea tuberositatis tibiaeは脛骨粗面の前にある.

 膝関節の周辺にあるその他の滑液包については筋学のところで述べる.

 膝関節の血管は非常に数が多く,太さも大きい.大腿動脈・膝窩動脈・前および後脛骨動脈から合計9本の枝が来て,それらが膝関節動脈網をつくっている.

 膝関節の神経は坐骨神経からの枝で,血管といっしょに走っている.

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最終更新日13/02/03

 

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