Band1.327   

4. 足関節Articuli Pedis

 足と下腿の骨との関節結合が距腿関節Articulus talocruralisである.その次に各足根骨のあいだの関節すなわち足根間関節Articdli intertarseiがあり,さらにその次に足根骨と中足骨との結合である足根中足関節Articuli tarsometatarseiと,中足骨どうしの結合すなわち中足骨間関節Articuli intermetatarseiがある.また中足骨と基節骨の結合は中足指節関節Articuli metatarsophalangici,各指節骨のあいだの関節は[足の]指関節Articuli digitorum pedisとよばれる.

1. 距腿関節Articulus talocruralis (図457463, 467)

 上距骨関節oberes Sprunggelenkともいうべきこの関節は脛骨と腓骨と距骨とからなっている.

 関節面は脛骨の遠位関節面Facies articularis distalisと踝関節面Facies articularis malleoli,腓骨の踝関節面, それに距骨滑車の近位面Facies proximalisと脛側および腓側踝面Facies malleolaris tibialis, fibularisである.脛骨と腓骨は洗濯ばさみのように距骨滑車をはさんでいる.距骨滑車の幅は前の方がうしろより広い.

 脛骨の遠位関節面は斜めに下内側へ傾いており,前後方向に凹の弯曲をなす.この面には矢状方向に走る1本の高まりがあって,距骨の近位面のこれに対応する溝にはまって滑る.軟骨はこの面の中央で厚さ約2mmである.腓骨の踝関節面(2~2.5 cm)にくらべると脛骨の関節面(1~1.2cm)は丈がひくい.

 距骨滑車は矢状断ではほぼ円形で,その半径は約2cmである.またその中心角は約120°で,脛骨の遠位関節面のそれより大きい.滑車の内側縁はぼまっすぐ前方へ走っているが,外側縁は前外側へ走るので,滑車の幅が後方より前方で広くなっている.さらに滑車の外側縁は内側縁より高いので,滑車面は内側下方へ傾いている.

 関節包は軟骨で被われた関節面の縁から起り,その範囲は距骨滑車の近位関節面から距骨の頚に少しはみ出しているだけである.関節包は内外の両側面では固く,前とうしろではゆるくできている.

 関節腔は完全に独立しており,脛骨と腓骨のあいだにある深さ約icmのすきまに続いている.横走するかなり大きい滑膜鐡襞が関節包め前壁と後壁に1つずつある.

 特別の装置として6つの側副靱帯があへそのうち3つが脛骨踝から,他の3つが腓骨踝から起る.脛骨からの3つの靱帯は密に相接して三角靱帯Lig. deltoidesとよばれる三角板を形成する.

 三角靱帯の脛舟部Pars tibionavicularisは幅およそ5mmで,脛骨踝の前縁と先端から起って,舟状骨の上面と内側面につく(図459, 463)

 三角靱帯の脛踵部Pars tibiocalcanearisは幅およそ1cmで,はなはだ丈夫である.脛骨踝の外面から起って踵骨の載距突起につく.その最前部の線維束は踵舟靱帯に移行している(図457, 459)

 三角靱帯の脛距部Pars tibiotalarisはFickによれば幅およそ15mm,厚さ約5mmである.後脛骨筋の腱鞘によって被われ,脛骨踝の下縁から起って斜め下方に走り,距骨滑車の脛側踝面の縁につく(図458, 459)

 前距腓靱帯Lig. fibulotalare anteriusは腓骨踝の前縁から起り,距骨滑車の腓側踝面の前縁につく.幅は約1cmで,あまり丈夫なものではない(図460, 463).

 踵腓靱帯Lig. fibulocalcaneareは腓骨踝の前縁の下部から起り(先端からは起らない),斜め後下方に走って踵骨の外側面につく.幅8mm,厚さ5mm,長さ2cmほどである(Fick).この靱帯の外側を長・短腓骨筋の腱が走っている(図457, 458, 460, 463)

 後距腓靱帯Lig. fibulotalare posteriusはほぼ水平に走る.腓骨踝窩から起り,距骨の近位突起につく.この靱帯は3つの外側の靱帯のうちで最もつよい(図458).

S.327   

最終更新日13/02/03

 

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