歴史的な偉大な解剖学書
1. 短母指伸筋M. extensor hallucis brevis. (図581, 582)
この筋は踵骨の遠位部の後面から起り,母指の指背腱膜に移行している.
2. 短指伸筋M. extensor digitorum brevis. (図581, 582)
短母指伸筋と同じく踵骨の遠位部の後面および外側面から起り,3つの腱をもって,そのいずれもが長指伸筋の腱と合し,第2~第4指の指背腱膜に移行している.小指にゆく腱はほとんど常に欠如している(H. Virchow).
神経支配:深腓骨神経による.
脊髄節との関係:L. IV, V, S. I.
作用:上記の両筋は足の指を伸ばし,且つこれらを外側に引く.
変異(日本人における短指伸筋の第4腱の存在は,男213体側のうち74体側,女94体側のうち26体側である(小金井良精, 新井春次郎, 敷波重次郎:東京医学会雑誌,17巻,127~131,1903).):大多数の例では母指伸筋および短指伸筋はその起始で合している.これらの腱の1つあるいは2つ以上のものが欠けていることがある,そしてわずかに腱が1本だけしか残っていないことがある.Le Doubleはこの両筋が完全に欠如している1例を記載した.
α.母指球の筋群Muskeln des Großenzehenballens
1. 母指外転筋M. abductor hallucis. (図583, 585~587)
この筋は足の内側縁で皮膚のすぐ下にあり,破裂靱帯Lig. laciniatum(筋膜の項をみよ).[踵骨隆起の]脛側結節Tuberculum tibiale tuberis calcaneiから起って,母指の脛側種子骨ならびに基節骨底に達する.その前にこの筋の腱は短母指屈筋の脛側頭の停止を取り入れている(図587).
神経支配:内側足底神経による.
脊髄節との関係:L. V, S,1.
作用:母指の基節骨を内側かつ足底の方に引く.
変異:ときどき1つの腱条を第2指に送る.
2. 短母指屈筋M. flexor hallucis brevis. (図586, 587, 589)
第1楔状骨ならびに長足底靱帯から起り,2頭に分れていて,その脛側頭は母指外転筋の腱と合し,母指の脛側種子骨に達するが,腓側頭は腓側種子骨に停止し,母指内転筋の腱と続いている(図589).
この両頭のあいだを長母指屈筋の腱が通って末節骨に達している.
神経支配:脛側頭は内側足底神経により,腓側頭は腓側足底神経による.
脊髄節との関係:脛側頭はL. V, S. I,腓側頭はS. I, II.
作用:母指を足底の方に引く.
変異:しばしば後脛骨筋の鞘から起っており,まれに1筋束を第2指の腱にあたえている.
3. 母指内転筋M. adductor hallucis. (図586, 587, 589)
斜頭と横頭とからできている.斜頭Caput obliquumは立方骨,長足底靱帯,第3楔状骨の尖ったところならびに第2および第3中足骨の底に始まる.横頭Caput transversumは順にならんだ尖頭をもって第3および第4(H. Virchowによればときには第2と第5も)中足指節関節の関節包の足底がわの壁から始まる.両頭は短母指屈筋の腓測頭といっしょになって母指の腓側種子骨ならびにその基節骨の底に終っている
最終更新日13/02/03