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毛細リンパ管網の一般的な特徴としてはそれがふくらみを呈していることである.リンパ管のふくらみは網の交叉点で最も著しくあらわれている.また網目の形がいっそう不規則であること,隣りの網目の広さとしばしば非常に異なっていること,たがいに開口する細いリンパ管の口径がはなはだ違っていることによって,毛細血管と区別される.これらの特色に注意すると,いくらか練習することによって形の上で毛細リンパ管と毛細血管とをたやすく区別できるのである(図704).

V. リンパ洞Lymphsinus

 これは長短いろいろのフラスコ状をしたリンパ管の突出部で,その先きは盲状に終り,特に乳頭や絨毛というようななにかの土台から出ている突起のなかに見られる.リンパ洞はすべて内皮で被われている.皮膚の乳頭や腸の絨毛のなかにあるが,そのほかに胃,大腸,子宮などの粘膜にも存在することが知られている(図704).

VI. 血管周囲リンパ管Perivasculäre Lormphgefäße

 リンパ管は大小いろいろの血管をその軸としてもっていることがある.非常に細い血管,一方ではまた大動脈も,それに相当するリンパ管で包まれていることがある.例:中枢神経系,肝臓,脾臓,胃の粘膜,骨(図705).

[図705] 動脈周囲リンパ腔Periarterieller Lymphraumカメ(Chelydra)の大動脈の一部. (Gegenbaurによる)

[図706]液腔Saftlückenヒトの角膜

VII. 液細管Saftkanälchen

 液細管とは結合質のなかにあるリンパ道のすべてをいい,リンパがここを通っているが,その道は内皮細胞が被っていないか,あるいははなはだ不完全に被っているのみである.すなわちこれは結合組織のなかにある内皮のない小さな隙間で,この隙間がたがいにつながって広くひろがった系統をなし,しかも上に述べた内皮または上皮で被われた諸種のリンパ腔と開放性のつながりをもち,またこのリンパ腔から人工的に注入することができる.非常に多くの実験がウサギの模隔膜の液細管についてなされている.このばあい,液細管は不規則な形の平らな隙間で突起をもっており,これによって同じような隙間とたがいにつづいている.また毛細リンパ管や細いリンパ管の幹もこれとつながっている.なおこの液細管は結合組織の1次束に包まれていて,つまり常に内皮性の鞘というべきものに囲まれているのであるから,全く壁のない(すなわち特別な壁をもたない)ものということはできない(図706).

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最終更新日10/08/28

 

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