Rauber Kopsch Band2. 005   

主要導管が分岐して1次,2次,……などの番号を付けることのできる多数の導管Ausführungsgange I., II. usw. Rangesとなって腺内にひろがっている.これを導管系Gangsystemという.もちろん1つの腺内にある導管の数は腺の大小や種類によって多かったり少なかったりする.また導管じしんが分泌作用をもつことはまれであって,多くの場合はもっぱら腺の生産物を外にみちびき出す役目をするものであり,そのための特別な設備をそなえている.他方じっさいに分泌のおこなわれる部分は終末部(腺体)Endkammernとよばれる.多くの腺では導管の先きが終末部につづくところが特別な構造をしていて,介在部(峡部)Schaltstückと名づけられて区別される(図7).

 導管の上皮および腺の分泌が行われている部分の上皮は単層のこともあり,重層のこともありうる.腺の上皮組織のすぐ外側に接しているものは多くの場所ではガラスのように明るい抵抗のつよい薄い膜であって,これを基礎膜Grundhautといい,無数のごく細い結合組織原線維からできている(Flint 1903).しかし出来上がった基礎膜ではこれが結合組織の細胞や線維で構成されていることがいつも見わけられるとは限らない.この膜のさらに外側で腺を支えているものは他の型の結合組織たとえば線維性結合組織である.ここにしばしば筋細胞も存在する.なお血管,リンパ管,神経が腺に分布している.

 複合腺ではその大小いろいろの部分が腺内の結合組織によって取りかこまれて1次の小葉Lobuli, Läppchenをなし,またその集りが2次あるいはそれよりも高次のもの(Lobi)となっており,隣りどうしの小葉や葉が結合組織によって連ねられ,また同時に隔てられている.なおまた,腺の全体が線維膜Tunica fibrosaあるいは白膜Tunica albugineaという丈夫な線維性の膜によって包まれていることがしばしばである.

 つまり腺の全体は分泌物をつくってそれを外にみちびく上皮性の部分すなわち実質Parenchymと支持のための結合組織性の骨組みである支質Stromaとからなっている.

[図4]2つの特殊な腺形を示す模型図

 Aは1個の管状単一腺でその管がうねって糸球状をなすもの(汗腺).Bは1個の胞状管状複合腺(たとえば肺).左側では立体的に外からみたところを示し,右側では内部をみるために切開してある.

 腺のなかで分泌が行われている部分は多くのばあい1層の細胞よりなり,この細胞の底面は基礎膜にのっており,それとは逆のいわゆる自由面freie Flächeは多くのばあい狭い腺腔Drüsenlichtung(Drüsenlumen)を囲んでそれを境している またその他のいくつかの面をもって隣接する細胞と相接している.相隣る細胞のあいだは細胞間物質および細胞間橋によって結合されており,腺腔に面するところには細胞の間に閉鎖堤網がある(図7).脈管系は基礎膜の外面に接して密な毛細管網をなしていて,この脈管系から腺細胞は水溶性の塩類や蛋白質を細抱の基底面のところにとりこみ,これらの物質がそのまま外にだされることもあり,あるいは腺細胞がはたらいてこれらの物質を材料にして特殊の分泌物ないし排出物をつくる.その生産物が多くのばあい腺腔に向かった面で細胞の外にだされるか(粘液性の諸腺,腎臓腸腺,子宮腺)あるいは特別な細い管(分泌細管Sekretkanälchen)を通じてだされる.こういう管に2種が区別されていて,その1つは棺隣る細胞の側面のあいだにあるもので細胞間分泌細管zwischenzellige Sekretkanälchenといい,たとえば耳下腺や涙腺にある.他は個々の細胞の内部にみられるもので細胞内分泌細管bznnenzellzge Sekretkanälchenといい,それも簡単な管の形をしているばあい(図7)と網の形をしているときとある(胃底腺の傍細胞) (図107, 108, 110).

 ある種類の腺では細胞が分泌を終えたのちに死んでしまう.こういうのを全分泌腺holokrine Drüsenといって,これに対する名前が部分分泌腺merokrine Drüsenであり,後者は細胞がその内部に崖じた分泌物を外にだしてふたたびその製造をはじめるもの,すなわちもっとも多くみられる普通の腺のことである.

 腺細胞が活動しているときには,その細胞内に特別な構造として分泌頼粒Drüsengranulaがみとめられる.これは細大いろいろの粒∫=であって,それが最初にあらわれてくるときはやっと顕微鏡でみえる程度のものであるが,次第に大きくなって,ついで分泌細管のあるばあいはその中に入り,そして腺腔に達するのである.

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最終更新日13/02/03

 

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