Rauber Kopsch Band2. 123   

これは脾柱の系統といっしょにして白脾髄weiße Milmpulpaをなし,それに対するものが残りの全部で,いわゆる赤脾髄rote Milepulpaである(図173).Hellmanによると白脾髄の量は脾臓の全体の6~22%である.

 マルピギー小体は脾柱に付いているのでなくて,一定した太さの細い動脈の壁に付いている.しばしば動脈の分れる角のところにある.しかしまた,マルピギー小体はそれをもっている動脈によって中央部を貫かれていることがある(図173).

 細い動脈の枝でそのまわりの結合組織性の鞘がリンパ性組織の性質をもつのである.このリンパ性に変つた動脈の鞘が局部的に肥厚したものがマルピギー小体である.多くのばあいリンパ性組織の集合が,動脈のまわりのうちの或る1ヵ所だけにおこる.そうすると動脈はマルピギー小体の中心をはずれている.あるいはリンパ性組織が動脈を輪状にとりまいて発達する.このときは動脈がマルピギー小体の多少とも中心部を貫くことになる(図176).

 脾小節はリンパ球の新生する場所である.おのおののリンパ小節に中央部の明るいところがあって,縁の方のいっそう暗くて広い部分と相対している.胚中心Keimzentrenとよばれるこの明るい中央部でリンパ細胞の有糸分裂が多数にみられる.その分裂でできた若い細胞がリンパ小節の周辺部に集まって,リンパ小節の小細胞性の縁すなわちその皮質をなすのである.胚中心は1才から10才までの子供で最も大きくて,その全部の重量も最も大きい.その数は20才までは100,000~200,000であり,その後はだんだんと減る(Hellman). Hellmanは脾臓の胚中心もまた,リンパ節や扁桃にみられる胚中心と同じく反応中心Reaktionszentrenであると考えた. Hoepkeはこの説に全面的には賛同しないで,脾臓についてもこの構造は胚中心としても,また反応中心としても作用しうるものであると述べている(Z. Anat. Entw.,99. Bd.,1932).

 赤脾髄はHellmannによると脾臓の全量の70~90%を占めていて,“毛細管性の静脈”kapillare Venen(Billroth)と疎な集り方をしたリンパ性の組織からできており,後者はマルピギー小体とも直接につながり,なおその線維が毛細管性の静脈の壁を支えており,またその静脈壁の形成にあずかっている.

[図176]ヒツジの脾臓内の動脈の小幹.マルピギー小体をもっている×15

 1. 動脈の小幹. 2, 2いっそう細い枝でその一部が筆毛状の分枝を示す.3, 3マルピギー小体.

[図177]動脈性毛細管(a, a)が毛細管性の静脈(V, V, V)に直接に移行する関係を示す イヌの脾臓.(R. Thomaによる)

[図178]赤脾髄の毛細管性の箭脈の壁

S.123   

最終更新日13/02/03

 

ページのトップへ戻る