Rauber Kopsch Band2. 212   

1. 一部は線毛をもち,一部は分泌性の(多くは)単層の円柱上皮(15~20µの高さ),でその線毛の動きは子宮の方へ向っている(図283);2. 細胞と血管に富む粘膜固有層;3. 薄い粘膜筋板.それに続いて線維性結合組織からなる粘膜下組織がある.

 筋層は2層からできている.すなわち内方にあるいっそうよく発達した輪走筋層と,それに弱い縦走筋層とである.両層とも粘膜筋板と同じく平滑筋からなりたっており,また平滑筋のあいだには血管が豊富に存在する.

 漿膜ははなはだ血管に富む厚い漿膜下組織によって筋層と境されている.

[図283]卵管上皮 卵胞破裂の時期=月経の始めから17日目.×720.

4. 子宮Uterus. Gebärmutter(図275, 276, 284286, 288290)

 子宮は対称的な構造をしていて,壁の厚い器官である.これは卵管から運ばれて来た受精卵を受け入れて,それが発達して行くあいだ宿して養い,その上で成熟した胎児を分娩によって体外に送りだすはたらきをしている.

 完成された若い女の子宮は,前後に圧平されて,中央がくびれた,西洋ナシのような形をしている.小骨盤のなかで膀胱と直腸の間に入りこんでいて,その上端は骨盤入口の上には出ていない.上部はやや前屈し,下部は腟円蓋に包まれている.したがって下部は腟のなかにはまりこんでいて,後下方に向いている.子宮の縦軸は骨盤軸とほぼ一致している.子宮はそれゆえ膀胱面Facles vesicalisと直腸面Facles rectalisをもっている.

 子宮の上部はすでに上に述べた子宮広ヒダという腹膜のひだに包まれている.このヒダの後葉はずっと下方まで達していて,腟円蓋の上も被っている.しかし前葉はそれより早く膀胱底のところで上方に折れ返っている.

 若い女の子宮の長さは平均6~7.5cmで,幅は子宮底のところで4.0~5.5cm,腔上部で1.5~3.0cm,前後の厚さは子宮底で2.2~3.0cm,頚部で1.5~2.5 cmである.

 月経に伴って子宮の性状はかなりに変化する.そして卵が長くその中で発達を続けるあいだに,子宮の大いさ,構造,形,内腔はそれに伴ってはなはだしい変化をおこす.胎児を外に押し出したあとは,子宮は徐々にもとの形に大よそ戻っていくが,決して最初の性状とまったく同じにはならない.それゆえ分娩したことのある女では子宮はどの方向にもやや大きくなっている.しかし年をとって生殖機能を失うと子宮は小さくなり,その諸径は若い女のものよりも小さくなることが普通である.処女の子宮の重量は44~60grであり,一般の婦人で妊娠していないときの重量は89~120grである.

子宮をKörper,Enge,Halsの3部に分ける.

 子宮体Corpus uteri(図284)のうち上部の凸縁をもっていて幅の広い部分,すなわちFundusは卵管の付着部より上に突きでている.下方にゆくにつれて次第に幅がせまくなる.体の下方の部分(ほぼ6mmの長さ)を子宮峡部Isthmus uteriという.しかし峡部の境は外からははっきりしない.後面,すなわち直腸面Facles rectalisは前面すなわち膀胱面Facles vesicalisよりもやや強くふくれている.卵管付着部の前下方で子宮の側縁すなわち外側縁Margo lateralisから子宮鼡径索Chorda uteroinguinalisが出ている.

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最終更新日13/02/03

 

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