Rauber Kopsch Band2. 361   

c)後頭葉の回転

 その外面にあるもの(図406, 407).

1. 上後頭回Gyri occipitales superioresは同名の溝によって境される.

2. 外側後頭回Gyri occipitales lateralesは同名の溝によって境されている.

 後頭葉の内側面にあるもの(図408).

3. 楔部Cuneus,これは頭頂後頭溝と鳥距溝とのあいだにある.

 後頭葉の下面にあるもの(図425).

4. 内側後頭側頭回Gyrus occipitotemporalis medialis.これは一部は後頭葉の内側面に,一部は側頭葉に属していて,鳥距溝と側副溝とのあいだにあり,後頭葉の先端(後頭極)に達し,また幅の狭い1つのつながりによって脳弓回峡と続いている.

d)側頭葉の回転

1. 上側頭回Gyrus temporalis superior(図406).これは側頭葉の先端(側頭極)から外側大脳裂の後枝の終末部のところまで延び,後者の場所では下頭頂小葉の回旋回と角回に続いている.

 上側頭回の上面は横側頭回Gyri temporales transversi(ヘツシュル横回Heschlsche Querwindungen)があり,その前半までは弱く刻まれているにすぎないが,後半では3~4本のはっきりした回転をなしていて,そのなかでも前方のものは必ず存在している.

2. 中側頭回Gyrus temporalis medius(図406).これは上側頭溝と,多くのばあいいくつかの部分に切れている中側頭溝とのあいだにあって,下頭頂小葉の後部に移行し,あるいは後頭葉にもつづいている.

3. 下側頭回Gyrus temporalis inferior(図406, 409).中側頭溝と下側頭溝とのあいだにあって,側頭葉の外側稜を作り,前方は中側頭回と続き,後部は後頭葉に向かって上行している.

4. 外側後頭側頭回Gyrus occipitotemporalis lateralis(図409, 425).側副溝と下側頭溝とによって境される.それゆえ側頭葉の底面に属している.

5. 海馬傍回Gyrus hippocampi(図425)は側副溝と海馬溝とのあいだにある.海馬傍回は脳弓回Gyrus fornicatusの下部であり,脳弓回の上部は帯状回である.脳弓回の上下の両部(海馬傍回と帯状回)の境をなす部分は脳弓回峡Isthmus gyri fornicatiであり,この部分は脳梁膨大のところにあって,内側後頭側頭回の前端とつながっている.海馬傍回は前方は逆の方向に曲つた短い回転,すなわち海馬傍回鈎Uncus gyri hippocampi, Hakenとして終り,この鈎に歯状回および海馬采Fimbria hippocampiの前端が接して終る.海馬傍回の表面は灰白質だけでなくて,網状に広がった白質の層で被われている.これが白網様質Substantia reticularis albaである.

 脳梁の回転Balkenwindungen(アンドレア・レチウス回Gyri Andreae Retzii)は脳弓回峡のところで歯状回の後端に密接して存在し,この回転は全例の約1/4において欠如しており,その数も非常にまちまちであり(1~7),形も大いさもすこぶる違っている.日本人では0~8個の回転が見られ,これが両側とも欠如しているのは12%,大脳半球の数でいうと25%に欠如しているという(Watanabe, Folia psych. et neurol. JApon.,1. Bd.,1935).

6. 歯状回Gyrus dentatus(図425, 435, 437).特異な構造を示すこの痕跡的な回転は海馬采と海馬傍回とのあいだにあって,その自由縁に切れ込みをたくさんにもっている幅の狭い灰白質の板である.

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最終更新日13/02/03

 

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