Rauber Kopsch Band2. 440   

下丘から出る直接の線維は同じ路を通って側頭葉の皮質に達する(図501).

[図502]前庭神経の核と伝導路I(BechterewおよびR. Richterによる) Bc結合腕;Crm 索状体,その内側部=核小脳路;d 歯状核;e 栓状核;f 室頂核;g 球状核;nc 同側の虫部に達する核小脳路の線維;nc' 反対側の虫部に達する核小脳路の線維;Nd 前庭神経背側核;Nl前庭神経外側核;Nm 前庭神経内側核(三角核);rc 赤核皮質路;rt赤核視床路;Rv 前根;tc視床皮質路.

 蝸牛神経背側核Nucleus dorsalis n. cochleaeから出る神経突起は第2の中心性聴覚伝導路をなし,これは髄条となって内側腹方に走り,毛帯の背方で交叉して,それからは外側毛帯に加わるのである.その途中でこれに属する線維の少部分は同側の後脳オリーブ核にいたり,別の一部は反対側の後脳オリーブ核に達するが,残りの線維は外側毛帯核と下丘に入り,一部は直接に内側膝状体に達する.ここに述べた聴神経線維の路はその側枝をまた顔面神経と上丘とに送るが,その伝導路のつづきは下丘と外側毛帯核からおこる神経突起よりなり,それがみな集まって下丘腕を形成している.その線維がすすんでゆき一部は内側膝状体に入り,一部は蝸牛神経腹側核から出る線維と同じように膝状体のところを通り過ぎて(聴覚の)膝状体皮質路の中を皮質に向かって走り,主として上側頭回に終るのである(図501).

[図503]前庭神経の核と伝導路II(BechterewおよびR. Richterによる) Cc後交連;Crm 索状体,その内側部= 核小脳路;d 歯状核;f 室頂核;Fi 内弓状線維(内側毛帯をつくる);g 球状核;nc 虫部に達する核小脳路の線維;Ncc 後交連核および内側縦束核;Nd 前庭神経背側核;Nl 前庭神経外側核;Nm 前庭神経内側核;Nsp前庭神経下核;rc 赤核皮質路;rt 赤核視床路;Rv 前根;tc 視床皮質路.

 前庭神経の根(図502, 503)はその経過の途中に前庭神経節が介在しており,その緬胞の末梢がわの突起は球形嚢斑と卵形嚢斑Maculae sacculi et utriculiおよび膨大部稜Cristae ampullaresに達する.その中心がわの突起は延髄と橋との境で蝸牛神経根のすぐ内側かつ上方で橋の実質のなかに入り,索状体と三叉神経脊髄路とのあいだを進み,菱形窩の外側の角に達する(図463).ここで直ちに分れて短い上行枝といっそう長い方の下行枝とになる.

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最終更新日13/02/03

 

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