Rauber Kopsch Band2.537   

この神経はここで1本の結合枝を中足背皮神経に送り,小指の背外側縁で終る.この神経が腓骨躁のうしろを通過するときに若干の小枝をその部分の皮膚ならびに踵の皮膚にだしている.これが腓側踵骨枝Rami calcaneares fibularesである(図559, 562).腓骨躁より上方でこの神経から足関節の外側面への小枝が分れ,さらに遠位では足関節包の前壁と足根洞への小枝がでている.

 b)膝関節への関節枝Rami articularesには多くのばあい各1本の上方と下方の枝がある.--c)腓腹筋の両頭・足底筋・ヒラメ筋への筋枝Rami musculares.--d)後脛骨筋・長指屈筋・ヒラメ筋への筋枝Rami musculares.--e)長母指屈筋・長指屈筋への筋枝Rami musculares.--f)膝窩枝Ramus popliteus.これは膝窩の下部で分れ,膝窩筋の後面の上を下方に走り,いく本かの枝に分れる.その枝のうちで最も太いものが膝窩筋そのものに分布する,その残りの枝としては次のものがある:α. 脛骨の骨神経Knochennerv der Tibia,これは栄養孔から骨の内部に入る;--β. 下腿骨間神経N. interosseus crurisは初めは下腿骨間膜の上を走り,後にはこの骨間膜の2葉のあいだに入り,その下端の近くにまで達する.この神経はここでふたたび表層に現われ,近くにある脛骨の骨膜と脛腓靱帯結合とに分布する.この神経のはじめの部分からは後脛骨動脈と前脛骨動脈ならびに脛腓関節への細い小枝が出る.--g)足関節への関節枝Rami articulares(1~8本ある).--h)後脛骨動脈への血管神経Gefäßnerven.

i)内側踵骨枝Rami calcaneares tibiales,これは踵の内側面の皮膚と足底の後部とに達している(図562),脛骨神経N. tibialisの2終枝は次のものである:

1. 内側足底神経N. plantaris tibialis(図564)

 これは2終枝のうちの太い方のもので,破裂靱帯の下にある管のなかを母指外転筋に被われて足底に達し,次いで短母指屈筋と短指屈筋とのあいだの間隙に入り,各1本の内側と外側との終枝に分れる.

 その分れるところまでにこの神経からは,母指外転筋と短指屈筋とへの筋枝Rami muscularesがでる.

a) 内側の終枝は母指外転筋の外側面に沿って遠位の方に走り,足の内側縁の皮膚に分布し,短母指屈筋の脛側頭に1枝をあたえ,母指の内側面の皮膚の中で終る.

b)外側の終枝は前者よりいくらか太くて,長指屈筋の腱の下面と短指屈筋とのあいだにある.この枝からは総底側指神経Nn. digitales plantares communesという3本の神経がでる.これらは各中足骨間隙の遠位端において2本の固有底側指神経Nn. digitales plantares propriiに分れて,第1指から第4指までのたがいに向い合った側面にゆく.第3総底側指神経はしばしば腓側足底神経からの1結合枝を受ける.第1と第2総底側指神経は第1と第2虫様筋神経をだしている.

2. 腓側足底神経N. plantaris fibularis(図564)

 これは足底方形筋と短指屈筋とのあいだを腓側足底動脈とともに外側かつ遠位の方に弓なりに曲がって走る.足底方形筋と小指外転筋との間のところで浅枝Ramus superficialisと深枝Ramus profundusとに分れる.この2枝に分れるまえにこの神経からは,小指外転筋と足底方形筋とへの筋枝がでる.

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最終更新日13/02/03

 

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