Rauber Kopsch Band2.594   

b)毛様体Corpus ciliare, Ciliarkörper(図605, 617620, 623)

 毛様体は鋸状縁から虹彩の毛様体縁にまでひろがっていて,これに3つの部分が区別される.

1. 毛様体輪Orbiculus ciliaris(図618)は幅4mmの帯をなして,鋸状縁に直ぐに接している.その内面にはこまかい隆線が経線方向に曲りながらたくさん走っており,これを小突起Processus minoresという.毛様体輪は組織学的には毛細管板の無いことを特徴としている.毛様体輪の前方部は毛様体筋の後端部によって外方から被われている.結合組織は原線維性の性質をもっており,結合組織束はその中に含まれる豊富な血管とともに経線方向に走る.基底板には格子状に厚くなったところがあって,そこは不規則な形の小さい腔所をもっている.色素上皮はこの腔所の中では,突出した隆線のところよりもいっそう固くついている.

2. 毛様体冠Corona ciliaris(図618).毛様体輪の前縁では,上に述べたこまかい隆線の集りが規則正しく合流してさらに大きい突起をつくっている.これは大突起Processus majoresとよばれて高さが1mmある.このような突起が1つの眼に70~80個も存在し,それらが全体として幅2~3mmの毛様体冠をつくっているのである(図618).

 大突起は長さ2~3mm,幅0.12mm,高さ0.8~1mmのひだであって,それが最も高まっているのは水晶体の縁に向いあったところである.大突起のあいだの低いところにも,低くて細かいひだ(小突起Processus minores)があって,毛様体輪の隆線のつづきをなしている.大突起のさきは水晶体の縁にふれるのでなく,生体の眼においてもこの縁から約0.5mmだけ離れている(図617, 618).

 毛様体突起Processus ciliaris(大小の突起をふくめて)の組織は毛様体輪の線維性結合組織のつづきである.毛様体輪におけると同様に,その結合組織性の骨ぐみは内面に基底板Lamina basialisと毛様体色素層Stratum Pigmenti corporis ciliarisと網膜の毛様体部Pars ciliaris retinaeとをもって被われている.またこの結合組織性の骨ぐみの外面は毛様体筋に接している.毛様体突起は血管に富むことが特徴である.その動脈は大虹彩動脈輪Circulus arteriosus iridis majorから来ている(図619).

[図619]子供の眼の脈絡膜と虹彩の血管(Arnold)内面からみる.×10

[図620]1個の毛様体突起をその長軸に対して直角の面で切ったところ(Schwalbe)

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最終更新日13/02/03

 

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