Rauber Kopsch Band2. 14

上皮小体Glandulae Parathyreoideae Beischilddrüsen(ザンドストレーム小体Saindströmsche Körperchen)

 上体小体は1個ないし4個;またはそれ以上ある小体で,各側において甲状腺の外側面と後面ヒ接しており,まれには甲状腺の左右両葉の内部にある.扁豆の形または卵形をしており,平均して8mmの長さをもち,特別な結合組織の被膜で包まれている.通常は左右にそれぞれ上下2つの小体があって上上皮小体・下上皮小体Glandula parathyreoidea cranialis et caudalis という.(日本人では上皮小体の4個あるものは51.9%,3個あるものは33.0%である(執行作弥,福岡医大誌17巻6号,1924).)

 上のものはほぼ輪状軟骨の下縁の高さで咽頭と甲状腺の両葉の後縁との間の溝にある(図225).下のものは同じ溝のなかで両葉の下端に近いところにある.

 これは典型的な位置であるがそのほかに位置の変化がいろいろあり,とりわけ下上皮小体について変化が多い.それがもっと外側に移っていることがあり,しばしば下甲状腺動脈と下喉頭神経の前にある.また甲状腺からかなり遠くに離れていることもあり,第8~第10の気管軟骨の高さにあることさえもあって,気管の前面についていることもときどきある.

 上皮小体の神経は甲状腺の被膜の神経叢から来ている (Braeucker).

 組織学的には(図229)上皮小体は上皮網胞索が相集り,また枝分れして組み合ったものからなっていて,その間をわずかな結合組織を伴ってかなり幅の広い多数の毛細管が走っている(図230).上皮小体の細胞は主細胞と色素好性細胞とに分けることができるが,主細胞の方がはるかに数が多い.

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 主細胞Hauptzellenはたいてい明るくて原形質に乏しく,外形質性の丈夫な壁をもっている.そのうち少数の細胞は細かい粒子のある原形質をもっている.したがって粒子のほとんど無い明るい細胞と,粒子が豊富で濁っている細胞とを区別できる.もう1つ別種の細胞として色素好性細胞oxyphile Zellenがある.この細胞は非常に大きいことと,暗くみえる小さな核をもっていること,および細胞体全部に充満してかなり粗大な酸好性の粒子の存在によって主細胞と区別することができる.

 小胞らしいものの形成があちらこちらに見られ,そのさい細胞は大小いろいろの分泌小滴のまわりに放射状に配列している(図231).

 年令差:粒子に富む主細胞は年をとった人ではその数が多い.色素好性細胞は子供の場合にはまったくないか,あってもごくわずかで,10歳を過ぎるとやっと数が増しはじめ,初めは個々にあるが,後には群を作って集まっている.いわゆる小胞は年をとるとともに増加する.

[図230]上皮小体 53才の男×250 (A. Kohnによる)

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最終更新日 13/02/03

 

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