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これで軟骨形成の最初の原線維星の時期が達せられたわけである.その後に原線維が均質な接合質の沈着によって目に見えない状態“Maskiert”になる.かくして硝子軟骨の基質ができたのである.線維軟骨と弾性軟骨では線維が目に見える状態にある.v. Korff, Arch. mikr. Anat.,84. Bd.,1914.

 しかしまた,軟骨の発生には間接的indirektなでき方がある.つまりすでにでき上がった他の組織すなわち軟骨膜あるいは小細胞性kleinzelligの結合組織から出発して軟骨が生ずるのである.

 一とたび生じた軟骨がさらにひきつづいて成長するのは一部は間接的interstitiell, 一部は付加的appositionellである.付加的というのは軟骨膜の深部の層が軟骨組織に変化して,かくして軟骨の厚さがますことである.

 軟骨の物質欠損Substanzverlusteの補充は温血動物では徐々におこるのみで,欠損が大きいとその補充は不完全にしかおこらない.そのさい再生現象は軟骨膜から出発する.

 硝子軟骨は上に述べた場所のほかに,またすべての線維軟骨結合や軟骨結合において骨に密接したところにある.なおまたそのほか骨の数カ所にみられる(長腓骨筋腱溝,翼突鈎溝,小坐骨切痕,アキレス腱の踵骨終止部).一石灰化した軟骨は人間では特に関節軟骨にみられる.それは硝子性にとどまっている部分とそれにすぐ続く骨との間のところにある.

b)線維軟骨はその量の大部分をなすのが膠原原線維の束であってこれらの原線維は少量の原線維間物質によってたがいに結合しており,またいろいろの方向に走ってたがいに交叉している.その間に孤立して,あるいは群をなして軟骨細胞が存在し,これらの細胞のおのおののが少量の軟骨基質によって囲まれている(図75).

c)弾性軟骨(図76)は硝子軟骨の一種で,その基質内に弾性線維および弾性板の密な網を有するものである.軟骨の表面に向かってこの弾性組織はだんだん少なくなる.そしてこれは軟骨膜の弾性線維と直接に続いている.

 

[図75]線維軟骨 ヒトの椎間円板より.細胞のまわりの同心性の線は基質が順々にときを追うて生じたことをあらわしている.

[図76]弾性軟骨 ヒトの耳より.×1000.

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最終更新日 13/02/03

 

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