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 この筋線維の最も目立つ特徴は横紋quere Streifungである.明暗の横の縞が交互に並んでいる.明るい筋の所は光線を通すのであって,個々は単屈折性einfachbrechend (isotrop)であり,暗い筋の所は複屈折性doppeltbrechend (anisotrop)である.横紋は各筋線維を構成している多数の筋原線維Myofibrillen (図107)の特別な性質に基くのである.この原線維は筋形質Sarkoplasma oder Sarkogliaとよばれる筋性にの原形質によって収束されている.この筋形質の中に多数の細長い核がたがいにある距離をもって存在し,これが人間や哺乳動物では筋鞘のすぐしたにある.普通は各々の核の所にやや多量の筋形質が集まっていて,これが色素顆粒を含んでいることもある.あるいは細い顆粒性の筋が核の両端に接してみられる.また核の近くでなく,筋形質の筋の中にも顆粒の列が存在することがあって,これを間質顆粒interstitielle Körnerという.

 筋形質によってまとめられて,原線維の多量あるいは少量が1つの束をなしており,またさらに隣接する原線維束の間をへだてて,筋形質の比較的大きい集まりがある.そのために1本の筋線維を横断したときのきれいな像が生ずるのであって,個々の原線維は点としてみえ,その集束は1つの小区画としてあらわれる.これがコーンハイム野Cohnheimsche Felderとよばれるものである(図111).

 核の豊富さKernreichtumはすべての筋線維で同じというわけでない.

[図106]横紋筋線維 ×400. 横紋が明瞭にみえる.縦の筋は所によってわずかにみえる程度である集束の縁のところで筋鞘の観の輪郭がみえる.筋線維の核が所々ではっきりと透視できる.

[図107]筋原線維 それをばらばらにほぐした標本.×500.

[図108]筋鞘を示す標本 カエルの新鮮な横紋筋線維.細析して水を加えたもの.星印の個所で筋鞘がみえる.

 多くの動物例えば家兎では2種の横紋筋がある.赤いのと白いのとで有って,前者の例は半腱様筋,ヒラメ筋であり,後者の例は大内転筋である.赤い筋では横紋が比較的に不規則であり,縦の筋が割合よくみえる.また同時に赤い筋は円みのある核をたくさんもって,その一部は筋線維の深部のもある.電気で刺激すると,赤い筋は白いものよりもゆっくりと収縮する.若干の動物では赤白の各線維が別々の筋をなしているが,他の動物および人間では両種の線維が1つの筋の中にまじって存在している.

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最終更新日13/02/03

 

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