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この上衣の細胞は楕円円形の核をもつ円柱状の細胞体と長い上衣線維Ependymafaserとから成っている.細胞体の自由表面に小皮縁Kutikularsaumがあって,ここに絨毛が生えており(図133),この毛が運動をすることをLeydingが動物において,Virchow, Kölliker等がヒトにおいて観察したものである.この細胞の一部は分泌機能を持っている(Fuchs, Bargmann).

 上衣線維は脳物質の中に遠くはいりこんでいる.胎児の脊髄ではそれが外表面まで達して,そこで膠小足Gliafußという小さい広がりをして終わっている.成人では後正中中隔Septum medianum dorsaleをなしている上衣線維のみが脊髄の外面まで達する.おのおのの線維がいくつかの小線維からできていて,この小線維が早晩たがいに離れるのである.

 b)星状膠細胞:すでにごく早い時期の胎児において上衣細胞がからグリア細胞(神経膠細胞)になるものが分かれる.これは上皮性の結合状態から分離して,神経細胞や神経線維のあいだに達する.

 グリア細胞に大きな2つの種類がある.大膠細胞Makrogliazellenと小膠細胞Mikrogliazellenであって,その各々がまた2つの種類に分かたれる.前者が長突起細胞Langstrahlerと短突起細胞Kurzstrahler,後者が稀突起膠細胞Oligodendrogliazellenとオルテガ細胞Hortegazellenである.

 多くのばあい,オルテガ細胞のみが小膠細胞とよばれる.しかしオルテガ細胞は稀突起膠細胞よりも大きいのであるから,本編のごとくこの2つを合わせて共同の群となして,それを小膠細胞とよぶのがいっそう良い.

 大膠細胞(図136 gl)は神経細胞にくらべるといっそう小さい(球形の)核といっそう少ない原形質をもつが,小膠細胞(図136 oglとhgl)にくらべると核が比較的大きくて,原形質もわりあい多い.そして多数の突起をもっているために星状膠細胞Astrocytenとよばれてきたのである.

 突起の長短によって長突起細胞短突起細胞に分かたれる.前者の突起は長くて滑らかで,細くて枝分かれが少ないが,後者の突起は短くて,繰りかえし二た叉に分かれるのである(図134,135).

[図134]短突起細胞 ヒトの大脳皮質より.(Golgi原法のKopsch変法による.)

[図135]長突起細胞 ヒトの視神経交叉より.(Golgi原法のKopsch変法による.)

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最終更新日 13/02/03

 

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