Band1.251   

弾性率

剛性率

材質

張力に対して

圧力に対して

張力に対して

圧力に対して

鋳鉄

10000

9900

13

73

鍛鉄

19700

19700

40.9

22

精製した鋳鋼

29200

11000

102

真鍮

6400

12.4

110

青銅・砲金

6900

25.6

ブナ・オーク・トウヒ・マツ・モミの材(線維の方向で)

1100

6.5

4.8

同上(年輪に対して放射状の方向で)

130

0.4

片麻岩・花崗岩

5.9

石灰岩

3.6

砂岩

2.9

煉瓦

0.6

モルタル

0.37

弱い麻なわ

6.1

強い麻なわ

4.8

革ひも(牛革)

7.3

2.9

軟骨(肋軟骨)

0.875

0.17*

1.57

骨緻密質(長軸方向)

1800~2500

9.25~12.41

12.56~16.80

骨(直径方向)

4.8

8.0

オセイン(長軸方向)

3.888

1.51

2.72

*Benninghoef(Ergeb. Anat . Entw., 26. Bd.,1925)は気管軟骨からその弓状の軟骨の長軸に沿って一部を切りだして・その張力に対する剛性率を1.22kgと決定した.これは表記の数字の7倍に当る.(原著註)

 反対に骨という材質は,荷重に耐える柱や円蓋をつくることの方に適している.これは全くその通りなので,軟骨性の骨格をもってしては陸上の大きい動物の生活は不可能なことだと断言できるのである.骨いう素材があってはじめて大きい動物の陸上生活が可能になったのである.

 骨の剛性は素材そのものによってのみ決定されるものではなく,骨の徴細構造によって非常に重大な影響をうける.このことは管状骨でとくにはっきりあらわれている骨層板は主として縦に伸びる血管網を囲む管の形,すなわちハヴァース層板系として用いられ,なお内および外基礎層板のかたちで内外の両面のしめくくりをなしている.さらにいっそう微細な構造をいうと,層板のひとつひとつが交互に別な方向に走る原線維束と,それによって形の定まる石灰化した原線維間質とをもつわけであるが,これら両者は骨の剛性に重要な関係をもっている.骨質が管状骨の長軸方向にはたらく力に対してより,直径方向に働く力に対して,ずっと抵抗が弱いことはこの点から理解できるのである.中空の管の形成が重要であることはすでに前に注意しておいた.これと同じ設計は広範囲に利用されており,微細構造にもまた用いられている.このことについては,1つの大きし管状骨の横断面にハヴァース層板系がいくつあるかを数えれば,はっきりあたまに描くことができる.その数はヒトの大腿骨で約3200,脛骨では約2500であるが,これらは決して単純に全長を貫いて走るわけではなく,血管網と一致した位置と構成とをもっている.もし1つのハヴァース層板系に10枚の層板が数えられるとすると,大腿骨だけで32000枚のハヴァース層板があることになる.

 緻密質では以上のようなぐあいになっているが,海綿質ではいくらか趣きを異にしている.ここで海綿質のよく目的にかなった構築を想い出していただぎたい.

 しかし骨のにたらきには素材の種類とその構築だけでなく,なお骨全体の外形とその利用および配置の様式が問題となる.

 からだの大ぎな支柱やテコ装置のかたちについていえば,その各部分に対して骨折の危険のある点をなくし,それどころかすべての柱をほとんど同じ抵抗力をもつ構造物にするという目的に向っている.このような構造物では骨折の危険性はすべての横断面でほぼ同じである.骨の外形は骨の目的にかなっている.骨の外形が海綿質の構築にどんなふうに反映しているかは前に述べたことから容易に理解できるであろう.--Benninghoff, A., Verh. anat. Ges.,1924; Anat. Anz., 63. Bd.,1927.

S.251   

最終更新日13/02/03

 

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