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関節包に終る筋を関節包緊張筋Kapselspannerといい,例を挙ぐれば膝関節筋M. articularis genusがあるが,しかしこの作用は関節のそばを通りすぎる他の骨格筋によっても副作用として行なわれる,その例は半膜様筋M. semimembranaceusである.--輪状に配列した筋,すなわち括約筋M. sphincter,輪筋M. orbicularisは腔所を閉ざすようにはたらく.その例は眼輪筋,口輪筋;肛門括約筋,幽門括約筋,臍胱括約筋である.

3. 筋の補助器官

 数多くの特別な装置が筋肉と機能的に結びついている.これらの装置を筋自体と密接な関係にある種類の補助器官Hilfsorgane näherer Artと筋自体とはそれほど密接な関係にない種類の補助器官Hilfsorgane entfernterer Artとに分ける.

A. 筋自体と密接な関係にある種類の補助器官Hilfsorgane näiherer Art
a)運動神経,脈管神経および知覚神経motorische Nerven, Gefäßnerven und sensible Nerven

 各々の筋は運動神経をもっている;これは筋を収縮させる刺激を運ぶものである.筋には知覚神経も来ている,これは運動神経にくらべるとずっとわずかな広がりかたである.しかし知覚神経を欠くことはない.そのうえに脈管神経がある.

b)脈管Gefäße

 筋を栄養するという目的のために,筋は脈管のはなはだ豊富な分布を必要としている;それには血管とリンパ管がある.

 脈管と神経が筋に入るところEintrittsstelleははっきりときまっている.筋神経Muskelnerven(Bardeleben und Frohse)は筋腹の長さの中1/3に入ることが最もしばしばで,しかも多くは筋腹の中1/3の近位部において入り,普通はただ1本の幹をなさないで,多くの枝に分れて入っている.しかしまた筋によっては神経が筋の近位端の所から入るもの(例,大腿二頭筋の短頭),また筋の遠位端の所から入るもの(例,第3腓骨筋),あるいはまた筋の2つの相反する面に入るもの(例,大内転筋,恥骨筋)まである.

 筋体の表面に神経が入る関係については,BardelebenおよびFrohseの両氏が次のことを確がめている.すなわち裏在性の筋では神経は一般に筋の深いがわから入り,深在性の筋では筋の体表に近いがわから入る.しかしながらこれにもまた例外がある.すなわち上腕三頭筋の長頭では神経は筋の外方の面から入り,方形回内筋では筋の深い方の面から入っている.

 筋腹の内部では,筋に入つた神経の枝が豊富な叢をなしていて,この叢はそれぞれの筋にとっても全く一定した型を示している(Eisler).

 Bardeleben und Frohse: Verh. anat. Ges.,1897.--Frohse: Anat. Anz.,14. Bd.,1898.--Über die Nerveneintrittsstellen in die Muskeln s. Frohse und Fränkl, Handbuch der Anatomie, Jena .

B. 筋自体とはそれほど密接な関係にない種類の補助器官Hilfsorgane entfernterer Art
c)腱Tendo, Sehne

 その組成からいえば,腱は全く筋肉とは異なり,単に筋の活動を伝える器官であるに過ぎない.しかし腱は何しろ筋肉と形態的,機能的に一体を形成しているので,両者がいっしょになって1つの筋を形づくり,そして筋と呼ばれている.腱は殆んど全部が強固な平行線維性の結合組織である.そしてほんのわずかの伸展性をもつのみであるが,このことが筋の作用を骨格のてこの系統に伝えることになり,それは筋の作用を生体が充分に利用するのに最も目的に適つている.ところでまた,いくつかの筋には(横紋筋も平滑筋もであるが),弾性の付着腱elastische Insertionssehnenがあって,全部あるいはその大部分が弾性組織からできている,例えば顔面筋,平滑筋性の立毛筋,舌筋,恥骨臍胱筋の腱がそれである.なお(Benninghoff, Z. Zellforsch.,1929によれば)心臓静脈の初部のなか,およびこれに接する心房部の心筋線維ならびに(Nagel, Verh. anat. Ges.,1938)陰嚢の肉様膜の中にもみられる.

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最終更新日13/02/03

 

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