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 足指の指背腱膜DorsalAponeurose der Zehenは手の指について述べた関係と同じである.

 神経支配:腓側足底神経による.

 脊髄節との関係:S. I, II.

 作用:第1背側骨間筋は第2指を内側に引く.第2~第4背側骨間筋は第2,第3,第4指を外側に引く.底側骨間筋は第3,第4,第5指を内側に引く.1本の足指に停止する2つの骨間筋が同時にはたらくときは,基節骨を曲げ,中節骨および末節骨を伸ばす.

 変異:第4の底側骨間筋が第1楔状骨から起って,母指の小指側の面に停止していることがある.

[図591] 大腿輪の模型図 *はローゼンミューラー腺

下肢の筋膜Fasciae extremitatis pelvinae, Binden der unteren Extremität
1. 腰筋膜Fascia psoicaおよび腸骨筋膜Fascia ilica

 これらの筋膜は腸腰筋の前面を被っている.腰筋膜Fascia psoicaは大腰筋とともに腰椎から起る.腸骨筋膜Fascia ilicaは外側は腸骨稜と,内側は弓状線と固く癒合し,同じく腸恥隆起と,さらにこの隆起を越えたところでは股関節包の前面と癒合している.すなわち腸骨筋膜はこれが包む筋および大腿神経とともに鼡径靱帯の下をへて大腿の前面の深いところに入り込むが,鼡径靱帯の下を通るところでこの筋膜の広がりの大部分でこの靱帯に固く付着している.ただその内側部だけがこの癒合をまぬかれている.それは腸恥隆起から遊離して鼡径靱帯まで張っている部分であって[腸骨筋膜の]裂孔間部Pars interlacunaris fasclae ilicaeと呼ばれるのである.この筋膜板によって,図491, 591に示すように鼡径靱帯の下にある隙間が2つの部分に分けられる.すなわち外側の筋裂孔Lacuna musculorumと内側の血管裂孔Lacuna vasorumとである.筋裂孔は小転子にいたるまでまわりが閉ざされているのであって,この裂孔を腸腰筋および大腿神経が通るが,一方血管裂孔を大腿動静脈ならびにリンパ管が通っている.そのさい大腿動脈は最も外側にあり,リンパ管は最も内側にあって,両者のあいだには大腿静脈がある.大腿動静脈は1つの結合組織の鞘の中に囲まれているが,この鞘は動脈と静脈とのあいだに多少とも明瞭な中隔Septumを有っている.大腿動静脈は血管裂孔の外側の大部分を占める.この両者と裂孔靱帯のへこんだ縁とのあいだにはすでに上(375頁)に述べた隙間がある,これが大腿輪Anulus femoralis, innerer Schenkelringであって,これを通って大腿ヘルニアが外にでてくるのが普通である.

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最終更新日13/02/03

 

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