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かくして翼突筋静脈叢と結合している.なおこの静脈の後端は上眼静脈の幹あるいは海綿静脈洞に開口している.

[図688] 眼窩の静脈ならびにその付近にある静脈とのつながり(半模型図) (2/3)

 a視神経;b上斜筋;涙腺;d下眼球斜筋;e正円管;f上顎洞;I共通の幹;1前頭枝;2下眼静脈;3眼筋静脈と涙腺静脈;4上眼静脈と前後の篤骨静脈;5鼻前頭静脈;[6眼窩下枝];II顔面静脈;[7深顔面静脈];8,8外鼻静脈;9眼角静脈;10前頭静脈と眼角静脈との吻合;III下顎後静脈;IV側頭静脈;[V顎静脈];11中硬膜静脈;[12下顎静脈];13咀嚼筋からの静脈;14吻合;15翼口蓋窩.

g)迷路静脈Venae labyrinthi

 いく本かの細い静脈が鼓室から錐体鱗裂を通って上錐体静脈洞にはいる.また1本の細い静脈は迷路の前庭から前庭小管を通って同じく上錐体静脈洞に入り,もう1本は弓状下裂または弓状下窩をでて,すなわち半規管のところからきて上錐体静脈洞に達する.蝸牛小管の外口,とりわけ内耳道は蝸牛からの静脈を下錐体静脈洞に導いている.最後にあげた静脈は3本ないし4本あって,迷路静脈Vv. labyrinthiと呼ばれる.

4. 外側浅頚静脈Vena jugularis superficialis dorsalis

 これは耳介の後で後頭静脈V. occipitalisと耳介後静脈Vena retroauricularisとが合することによってできあがる.ついで広頚筋と浅頚筋膜のあいだを下方にすすみ,頚の下部で胸鎖乳突筋の後縁に達する.そして肩甲舌骨筋の下腹の前方かまたは後方で,頚筋膜の浅葉と中葉を貫いて,1本あるいは2本以上の小幹をもって腕頭静脈に開口するが,ときには内頚静脈または鎖骨下静脈にも開いている(図680).しばしばその中央の高さに1対の弁がみられ,また常にその下端の開口部には1対の弁がある.

 途中で周囲から細い静脈を受けとり,上方でに下顎後静脈あるいは顔面静脈と1本の太い吻合枝によってつながっている.下顎後静脈または顔面静脈がこの静脈に移行していることもある.この静脈にはいるものを次にあげる.

a)後頭静脈V. occipitalis.その領域は同名の動脈と一致する(図681).

b)耳介後静脈V. retroauricularlis. 耳の後で浅層の静脈叢からおこり,しばしば乳突導出静脈をも受け入れている(図680)

c)前浅頚静脈V. jugularis superficialis ventralis(図680).これは舌骨の高さでオトガイ下部の若干の皮静脈が集まってできあがる.そしてあるときは正中線の近くを走り,また左右両側に共通な1本の幹すなわち頚正中静脈Vena mediana colliを作っていることがあって1つの静脈網が前頚部の血液を集めてこれに注いでいる.

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最終更新日13/02/03

 

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