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 この平滑筋細胞はNeubertが言つているように(Z. Anat. Ent.,110. Bd.,1940)非常にたくさん存在する.被膜はところどころで結合組織の小梁と膜,すなわち梁柱Trabeculaeを内部に送りこんでいる.また被膜はリンパ管と血管がリンパ節に出入するところだけはとぎれている.表面の1ヵ所に臍状のへこみ,または裂目があり,これを門Hilusという(図708, 716).門から輸出管血管がリンパ節を出ており,それに対して輸入管は表面のまるく膨んでいる部分にはいっている.

[図708] 比較的小さなリンパ節の断面 半模型図,矢印はリンパの流れを示す.

[図709] リンパ節とその輸入管および輸出管(Sappeyによる)

 多数の枝に分れた細い方のリンパ管が輸入管で,根の数の少ない太い方の小幹が輸出管である.

 リンパ節の実質には2つの部分,すなわち灰色または黄赤色の皮質Substantia corticalis, Rindensubstanzと赤みをおびていっそう軟い髄質Substantia medullaris, Marksubstanzとがある(図710).皮質には肉眼でも認められる円い皮質小節があり,髄質は海綿状で,比較的太い血管に富んでいる.髄質は1つの場所すなわち門において表面に達していて,ここでは門支質Hilusstromaという結合組織の塊りに囲まれており,この門支質が太い血管と共にリンパ節のなかにはいりこみ,また脂肪細胞を伴なっている(図715).髄質はリンパ節によって発達の程度が非常にまちまちで,体の内部にあるリンパ節,たとえば小腸間膜と腰リンパ節では最もよく発達しており(図710),浅いところにあるリンパ節,すなわち腋窩と鼡径部のリンパ節ではあまり発達していない.浅層のリンパ節では髄質は皮質を内側から被う薄い1層をなしていて,それだけこのようなリンパ節では門支質が深くはいりこんで,髄質をおしのけているのである(図715).それに対して体の深いところにあるリンパ節ではよく発達した髄質が門から表面の近くまでのびていて,門支質に相当する結合組織はときとしてほぼ完全にリンパ節の外にある.

 新生児と老人では髄質と皮質の区別がつかない.(Keller, Verh. anat. Ges.,1950).

 すでに述べた被膜から続いて出ている梁柱(図710, 2)は被膜と同じ線維性結合組織と平滑筋細胞からなり,これは皮質と髄質とを貫いて,たがいにつながって網材を作り,リンパ節の実質をその間に持つている.しかしこれと実質との間には,ぐるりに狭い隙間があって,そこをリンパの流れが通っている(図708, 711).

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最終更新日10/08/28

 

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