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 このリンパ路の細網(図710,8, 被膜の下にみえる)はリンパの流れを妨げるのではなくて,ただそれを遅くしているのであって,それと共にリンパ節の実質の全部を被膜と梁柱系に付着させている役目をしている.リンパ路の内面で被膜と梁柱系に接しているところはすべて内皮で被われている.またその内皮が皮質小節と髄索の表面をも所々で被っている.

[図711] リンパ節の構造模型図 1列に並んだリンパ小節を持つ.

[図712] ヒツジの血リンパ節 門を通る平面で横断したもの(Weidenreichによる).

髄質のリンパの通路から輸出管が細い根をもって始まり,門のところでまがりくねってふくらんだリンパ管の密な網を作っている.その他の側では輸入管が被膜のまわりの所で枝分れした後にそれらの枝が被膜を貫いて,皮質小槽のリンパ隙に開口する.リンパ隙はそこから髄質のリンパ路につづいて相ともにリンパの通る管を作る.これは輸出管と輸入管のあいだに介在して,リンパの流れの連絡を保つものである.輸出管と輸入管はリンパ節のリンパ路につながると,その壁は内皮を除くすべての膜がなくなり,内皮のみが残ってリンパ節のリンパ路の内皮に続いている.

 皮質小節はそれぞれの大きさに従って1つまたはそれ以上の数の2次小節をもっている (Dabelow, A., Verh. Anat. Ges.1935).

 動脈はリンパ節の表面のいろいろな所から,しかし特に門のところでリンパ節の中に入り,静脈も門を通って出ていく(図715).表面からはいった血管は被膜の上で枝分れし,また太い梁柱の中軸を走ってそこでも枝分れしている.門をはいった太い動脈は一部は梁柱に枝をあたえるが,大部分の枝はそれをもっとも必要とする場所,すなわち髄索と皮質小節に向かってすすむ.髄索や皮質小節で動脈の枝はよく発達した毛細管網に分れ,それから静脈が出ている.

 リンパ節はリンパ細胞の成生する所であり,この細胞は皮質小節と髄索のリンパ様組織のなかで作られる.新しく生じたリンパ細胞はリンパ路のなかにさまよい出て,それから輸出管の内容の成分となる.

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最終更新日10/08/28

 

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