Band1.691   

k)腹壁深層のリンパ管は一部は腸骨回旋動脈と下腹壁動脈に沿ってすすみ鼡径リンパ節に達する.しかし大部分は腰動静脈および腸腰動静脈に伴なって後方に走り,しばしばそこに少数の腸骨リンパ節をもっており,また背部のリンパ管とともに大腰筋のうしろで腰リンパ節にはいる.

[図721] 女の内部生殖器のリンパ管,腰リンパ節と腸骨リンパ節  *腟壁から出て直腸の表てにゆき肛門直腸リンパ節に注ぐリンパ管(C. Bruhns,1898).

l)腎臓のリンパ管(図717)は浅層と深層とに区別されるが,それらの根の領域はたがいにつながりをもっている.浅層のリンパ管は腎門に向い,そこで実質からくるリンパ管と結合し,ついで腰リンパ節に向かって内側に走る.尿管のリンパ管は多数あって尿管をとりまき,一部は腎臓のリンパ管と,一部は膀胱のリンパ管と結合している.

 深層のリンパ管はStahr, Vogel, Kumitaの研究によると次のようになっている.腎迷路では毛細リンパ管網が尿細管とマルピギー小体Malpighische Körperchenを取り囲んでいる.そして少数の係蹄状をなすものが糸球体にもはいっている.毛細リンパ管網からでてくる太いリンパ管が血管とともに腎門を出てゆく.髄質には比較的広い網目の毛細リンパ管網がある.この網からおこるリンパ管は髄質と皮質の間を走るリンパ路に開口する.後者は弓形動静脈に沿って走り,ついでたぶん皮質から来る小幹といっしょに外に出るのである.Stahr, H., Arch. Anat. Phys.,1900.-Vogel, L., Virchows Archiv, Bd.125,1891.-Kumita, Arch. Anat. Phys.,1901.

m)腎上体のリンパ管(図717)は被膜と実質中で豊富な網を作り,腎上体動静脈とともに外に出て(ときとして腎臓のリンパ管とつながる)腰リンパ節にいたる.

S.691   

最終更新日13/02/03

 

ページのトップへ戻る