Rauber Kopsch Band2. 094   

 年令による下降:老人では肝臓が1つの肋骨の高さだけ下方にあるが,これは横隔膜の高さが変ることに一致している.肝臓の下降の数値はVogt(Verh. anat. Ges.,1921)によると4~6 cmである.女では肝臓が概していっそう低いところにある.

 肝臓の位置は呼吸運動や体の姿勢につて,正常の範囲内で少し変化する.体をまっすぐにして立つたり坐つたりしているとき,かつ横隔膜を吸気の状態にするときには,体を水手な位にしたり,かつ横隔膜を呼気の状態にするときよりも,肝臓の前縁が肋骨弓のところで下方にいっそう突出する.なお肝臓は横隔膜の円天井にぴったり適応しているので,横隔膜の収縮にさいしてその形をある程度変える.

[図138]肝臓 横隔面の付着部 (2/3) *右三角間膜

肝臓の導管(総胆管)Ductus choledochusと胆嚢Vesica fellea

 総胆管Ductus choledochusは総肝管と胆嚢管とが合一することによって生じ,およそ6~8cmの長さがあって,胆汁を肝臓および胆嚢から十二指腸にみちびくのである(図114).

 局所解剖:総胆管は小網の肝十二指腸部のなかに包まれて走り,そのさい肝臓にすすむ固有肝動脈および門脈にともなわれている(図113).ついで十二指腸下行部の後面の内側縁にそってすすむが,そこである短い距離だけ膵臓によって包まれる.そのとき膵管の右側に接している.膵管といしよに十二指腸の筋層を貫くが,十二指腸の諸層を1~2cmのあいだ斜め下方に通るので,十二指腸縦ヒダがそのために生じ,その下端の[大]十二指腸乳頭Papilla duodeni(major)において開口する.その開口するすぐ前に総胆管は膵管と合している(十二指腸の項および図114を参照のこと).

 総肝管Ductus hepaticusは,肝臓の左右両葉からの胆汁をみちびき出す管が,左右1本ずつの幹をなして肝門にでてきて,ここで鈍角をなしてたがいに合することによって生ずる.かくしてできた総肝管は4~6cmの長さと4mmの太さをもち,小網の肝十二指腸部のなかを右方かつ下方にすすんで,胆嚢からでてきた胆嚢管と鋭角をなして合して,総胆管となる.

 肝臓の内部における総肝管の枝intrahepatische Gallengangeは門脈の分枝に伴っている.総肝管をつくる左の幹は左葉と方形葉から胆汁をみちびき,尾状葉の一部からもみちびく.右の幹は右葉のほか尾状葉の一部から胆汁をみちびきだすのである.

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最終更新日13/02/03

 

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