Rauber Kopsch Band2. 172   

 構造:薄い結合組織の被膜が左右両葉のおのおのを包んでいる.被膜を取り去ると多数の平たい小葉が現われる.その直径は0.5-1.0cmで,柔かな結合組織と脂肪によってまとめられており,全体としてたがいにつながっていて,中心索Tractus centralisという索状の共通の組織にく.つづいている.この索のなかを太い血管がこれに沿って走っている.この2次小葉を胸腺小葉Lobuli thymiといい,これがいっそう小さくて西洋ナシの形をして円みをおびて且つ扁平な1次小葉が相集まってできている.この1次小葉が密に相寄り,しかもたいていは瓦のように重なり合っているか,あるいはたがいにごく疎につながっている.1次小葉そのものがもっと小さな基礎小葉Grundläppchenという実質の塊りからできている(図227).

[図231]上皮小体 小胞形成25才の男 ×250

 *静脈(A. Kohnによる)

[図232]新生児の甲状腺と胸腺 ×1

 1 咽頭;2 気管;3 錐体葉;4, 4 甲状腺の右葉と左葉;5, 7 胸腺の左葉;6, 7胸腺の右葉.

 基礎小葉については次の2つを区分する.1. わずかな血管とリンパ球に似た小さい細胞を持つ明るい中心層,すなわち髄質Markzone 2. 暗くて,細胞と血管に富む皮質Rindenzone.基礎小葉の組織は細網性の土台と多数の小さい細胞からできているという点でリンパ性結合組織に極めて類似している.

 しかし胸腺は(Stöhr, Hammar)リンパ節に近縁な器官では決してなくて,ここで細網をなしている細胞は内胚葉性の上皮細胞からできたものである.しかし細網の網の目のなかにある小さい細胞は本当のリンパ球である(Hammarその他の学者).

 特に髄質には普通のリンパ球のほかに,大きな核をもって,また原形質に富む大きな細胞がある.その核のなかに簡頃な,あるいは複雑な形の核小体がみられる.さらに特有な同心性小体(胸腺のウイルヒヨー.ハッサル小体Virchow-Hassalsche Körperchen)がある(図228).この小体の中心部は少数の細胞からなっていて,その周りにはほかの細胞がタマネギのように集まっている.この細胞が年令とともにその数を増す.その多くは簡単な同心性小体であるが,このような小体の2つ以上が共通の細胞層で包まれると複合の同心性小体となっている.

S.172   

最終更新日13/02/03

 

ページのトップへ戻る