Rauber Kopsch Band2. 251   

これは約4cmの長さがあって,尿道海綿体球の上方で尿道の粘膜下を前方に走り,他側のものと密接して尿道の底に開口している.

 この腺の終末部はふくらんでいて,円柱状の明るい腺細胞をもっている.導管は丈の低い重層円柱上皮である.分泌物は粘液性のもので,その粘性が大きい.

 変異:ときおりこの腺がただ1個しかないことがある.まれに中央部に第3の腺がある.年をとるとともにこの腺はいっそう小さくなる.

 尿道球腺の終末部の形は一部は管状,一部は胞状である.導管系は腺の内外において小さい湖のように広くなっている.腺の分泌物はおそらく精子の運動を促進するのにあずかるのである.この腺には横紋筋と平滑筋が豊富にふくまれる.

2. 尿道の隔膜部Pars diaphragmatica urethrae, Harnröhrenenge(図266, 267, 270, 335)

 尿道の隔膜部は前立腺の尖端から尿道海綿体球の所までのびていて,尿生殖隔膜のなかにあって,その正中部を貫いている.それゆえここでは尿道は横紋筋の束で包まれる.なお会陰の項を参照されたい.

 隔膜部の前面は約2cmの長さであるが,後面は1.5cmに過ぎない.これはこの部分が尿道球のなかに斜めに入りこむからである.この部分は尿道のなかでもっとも狭くて,しかもかなり拡張性に富むところである.中央部の全周は約1.5cm,下端部では1.2 cmである.尿生殖三角の全厚を貫いて走るときに,その前面は凹を呈しており,恥骨弓の尖端から約2cm離れている.

 隔膜部の粘膜において前立腺部の単層の円柱上皮が次第に重層の円柱上皮に移行する.粘膜下組織には尿道前立腺部の海綿状の組織がここにつづいて尿道のまわりをぐるりと取りまいている.

 筋層は内側の縦走する平滑筋層と外側の輪走する平滑筋層からなっている.そのさらに外側には横紋筋からなる隔膜尿道括約筋M. sphincter urethrae diaphragmaticaeの束がつづいている.なお会陰の項を参照されたい.

3. 陰茎Penis, mdinnliches Glied(図262, 266, 267, 270, 322335)

 陰茎は男の交接器であるとともに長く伸びた膀胱の導出管であり,円柱形をしている.これは外陰部で陰嚢の上端において体の表面から突出しており,移動性に富む皮膚によって包まれている.陰茎の内部は主として海綿組織からできており,これは2つの長いほぼ円柱形をした部分に分けることができる.すなわち1. 尿道の終りの部分,つまり尿道海綿体部Pars cavernosa urethraeとそのまわりの海綿体,すなわち尿道海綿体Corpus cavernosum urethrae;2. 陰茎海綿体Corpus cavernosum penisである.これはその下面の溝に尿道海綿体を入れている.

 後部は陰茎根Radix penisといい,恥骨の前面に固くついている.自由端は陰茎亀頭Glans penis, Eichelという.根と亀頭のあいだの部分が陰茎体Corpus penis, Körper(od. Schaft)der Ruteであって,背方の平たい面と尿道面,および円い輪郭の両縁をもっている.背面は陰茎背Dorsum penis止いう.また尿道面Facles urethralisでは尿道海綿体部をみることも,触れることもできる.

 陰茎亀頭は背面の方と尿道面の方からやや圧平された形をしており,その端に垂直方向の裂け目があって,ここが尿道の出口すなわち外尿道口Orificium urethrae externumである.亀頭の底部は陰茎体よりも広くて,陰茎海綿体の細くなった前端をうけ入れるためのくぼみをもっている(図267, 325).くびれているところを亀頭頚Collum glandisといい,その上につきだしている亀頭の縁は亀頭冠Corona glandisとよばれる.

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最終更新日13/02/03

 

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