Rauber Kopsch Band2. 302   

3.脊髄の被膜

 脊髄には3つの被膜がある.

a)脊髄硬膜Dura mater spinalis(図370, 375, 378380)

 これはたがいに遠くはなれている2葉からなっている.すなわち脊柱管を内張りしている薄い骨膜性の1葉(外板Lamina externa,脊柱管内膜Endorhachis)と狭義の脊髄硬膜すなわち内板Lamina internaとであるが,内板は強固な線維性であり,腱のような輝きをもつ膜である.これらの両葉のあいだには硬膜外腔Cavum extraduraleがあり,このなかに疎性結合組織,脂肪組織,静脈叢がある.

[図378]脊髄とその被膜および後根をうしろからみる;A, B, Cの3部に分けてある.1/2 (Sappey)

 硬膜の嚢は部分的に取り除いてうしろから切り開いてある.左側では後根を取り去って,歯状靱帯の配列がよく見えるようにしてある.右側では神経根が硬膜を貫いているのが見渡せるようにしてある.Aでは(上の)1に第1頚神経,VIIIは第8頚神経(下の)I・II・IIIは第1から第3までの胸神経を示し;BではIVは第4胸神経,XIIは第12胸神経,1は第1腰神経を示す;CではIIおよび(中央の)Vをもって第2と第5腰神経,1および(下の)Vをもって第1と第5仙骨神経を示す.1菱形窩;2 結合腕;3 橋腕;4索状体;5 槌子;6 舌咽神経;7 迷走神経;8 副神経;9,9,9,9 歯状靱帯が硬膜に付着するところ;10,10,10,10脊髄神経の後根が出るところ;11,11,11,11 後正中溝;12,12,12,12 脊髄神経節;13,13 脊髄神経の前根;14 脊髄神経が前枝と後枝とに分れるところ;15 脊髄円錐;16,16終糸;17,17 馬尾.

 内板は外側が粗で,内側は滑らかで光沢があり,長くて広い円筒形の嚢をなしていて,この嚢はこれに包まれた脊髄よりもはるかに大きな広がりをもっている.これは大後頭孔の周縁にかたく付着しており,また脊髄円錐の尖端を越えてさらに下方にのびて,第2あるいは第3仙椎の高さではじめて急に細くなり円錐形の尖端となっている.大後頭孔のすぐ近くで左右の椎骨動脈がこれを貫いている二硬膜の突起が終糸とともに下方にのびて尾骨に達し,脊髄硬膜糸Filum durae matris spinalisを成している.

S.302   

最終更新日13/02/03

 

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