Rauber Kopsch Band2. 312   

この層は場所によって厚さが異なり,外方は柔膜で被われている.その内面から大,小さまざまな多くの突起がでて,白質のなかに入りこんでいる.

b)神経性の要素nervöse Bestandteile
A. 神経細胞Nervenzellen

 脊髄の神経細胞はいろいろな観点から分類することができる.ここで採り上げる1つの重要な区別は,神経突起(軸索突起)Neuritenの関係Verhaltenとその経過Bahnとに基づくのである.すなわちこの観点からは次のように区別される.

1. 根細胞Cellulae radiculares, Wurzelzellen

 その神経突起は前根あるいは後根に入っている.

2. 索細胞Cellulae funiculares, Strangzellen

 その神経突起が脊髄の白質の索に達している.索細胞は一側性unilateralesと両側性bilateralesのものとに区別される.後者のばあいは,その神経突起が2本の線維に分れ,その中の1本は前交連をへて反対側の髄外套に達している.

3. 軸分枝細胞Cellulae axi-ramificatae

 神経突起が,灰白質の中で,その細胞体の近くで多数の趣めて細い枝に分れる.軸分枝細胞の中には次のような細胞もある.すなわち神経突起がまず白前交連を越えてゆき,反対側の灰白柱の中でほぐれて終末分枝の集りterminales Astwerkをなしている.

 その特有な作用spezifische Funktionによって,これらの細胞を運動性motorisch,知覚性sensibel,反射性reflektorisch, 連合性assoziierendなどに分類することができる.いろいろな細胞について,重要な特性がたくさんに且つくわしく知られているが,特に次のことは注意を要するであろう:

1. 根細胞Cellulae radiculares, Wurzelzellen

a)前根細胞Cellulae radiculares ventrales, Vorderwurzelzellen(図381, 398, 399)

 前根細胞は前根の線維をだす運動性の細胞であって,頚と腰の両膨大では前柱の中で前内側,前外側および後外側の細胞群をなし,上部頚髄および胸髄ではそのような細胞群に分れていない.その細胞体の大きさおよび樹状突起の分枝の豊富な点で前根細胞はきわだっているのである.多くの樹状突起の枝分れが白質の中および前交連の中にまで達している.その神経突起は細胞体あるいは樹状突起の幹からはじまり,前索を通りぬけて前根に入り,末梢の運動性神経線維の軸索となる.多くの例では,神経突起がその起始の近くで分れる細い側枝を出している.

 (交感神経性の)側柱Seitensäuleの細胞もまた前根細胞の一部である.その神経突起は交感神経幹の神経節に達している(図399).

b)後根細胞Cellulae radiculares dorsales, Hinterwurzelzellen(図398402)

 後根細胞には,2群があって,そのおのおのに属する細胞の数は非常に異なっている.多い方の1群は脊髄神経節Spinalganglienの細胞でできていて,これに対して少ない方の1群は後柱の中にある細胞で,その神経突起が後根の中にはいっているものである.

α. 脊髄神経節の神経細胞

 この細胞は脊髄の外にある.発生の途中にはすべての脊椎動物で脊髄神経節の細胞は紡錐形で双極である(図398).魚類ではいつまでもその状態にとどまるが,比較的高等な動物になると不平均な発育過程によって偽単極Pseudo-unipolarとなる.もっともラセン神経節Ganglion spirale cochleaeと前庭神経節Ganglion vestibuliのみは高等の動物でもその神経細胞が双極のままである.

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最終更新日13/02/03

 

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